「エスコンフィールド HOKKAIDO」の斬新な照明演出を可能にしたパナソニックの照明技術:LED照明(3/3 ページ)
北海道日本ハムファイターズの新球場として2023年3月に供用開始となった「エスコンフィールド HOKKAIDO」。試合を盛り上げるダイナミックな球場演出には、パナソニック独自の照明技術が多大な貢献をしているという。
放送システムで培った技術を投入した照明ソリューション
パナソニックがエスコンフィールド HOKKAIDOに高度な照明演出ソリューションを提供できた理由は、放送事業者との約60年間にわたるビジネスで蓄積してきたノウハウにある。新球場では、これまでの経験を生かし、照明演出のシステムとして、KAIROSと連携する新スタジアムコンテンツ・マネジメントシステム「S-CMS」を実装した。
スタジアムの映像関連ハードウェアは、カメラ、大型ビジョン、サイネージなどが音響や照明と連動し、スタジアム全体に一体感や没入感をもたらす。KAIROSは、サイズや解像度の異なるハードウェアで放映するコンテンツを一元的に、その前段階のスイッチングや映像合成、映像確認など制作作業を行うためのプラットフォームとなる。一方、S-CMSは映像、照明、音響の各システムを統合制御し、KAIROSで作成したコンテンツを表示装置に送信する。
S-CMSにはサイネージの電源を制御する機能も備わっており、複数のサイネージに対して一括で電源ON/OFFが可能になる。従来は複数のスタッフが数時間もかかっていた電源ONの操作も、S-CMSを使用することでコントロールルームに居ながらにして完了する。こうした映像、照明、音響の連携機能は、各分野の熟練オペレーターを必要とせず、人材不足を補うメリットもある。
また、画像の転送にも、パナソニックの技術力が光る。球場内には約600基のサイネージが配置されているが、データ転送にはケーブルテレビの技術を応用した。その結果、多数のサイネージがほぼリアルタイムで連動表示できる0.5秒以下のタイムラグに抑えた。表示の遅延がなければ、大型ビジョンや音響、照明とのシンクロもズレることなく、球場全体を一体とした演出が実現する。
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