照明器具18.1億台の“SSL化率100%”を目指すJLMAの成長戦略、次世代型「Lighting 5.0」を普及:LED照明
日本照明工業会(JLMA)では2019年に照明成長戦略「LIGHTING VISION 2030」を発表。カーボンニュートラルとSociety 5.0の実現に向けて、さまざまな取り組みを展開している。加速度的に達成していくため、2022年10月19日には新たなコミュニケーション戦略を打ち出した。
日本照明工業会(JLMA)は2022年10月19日、カーボンニュートラルとSociety 5.0※の実現に向けて、新たなコミュニケーション戦略「LIGHTING ACTION for 2030」を発表した。
「LIGHTING VISION 2030」で掲げる3本柱
LIGHTING ACTION for 2030は、2019年に提示した照明成長戦略「LIGHTING VISION 2030」をさらに加速度的に達成していくための新たな道筋となる。政府が2021年に、「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減すると打ち出したのを受けて策定した。
LIGHTING VISION 2030で掲げる3本柱は、照明器具ストック市場の「SSL(LEDや有機ELなどの半導体照明)化率100%達成」、政府が提唱したSociety 5.0※に対応する次世代照明の「出荷構成比40%達成」、温室効果ガスの排出量を「46%程度の削減に挑戦」。
※Society 5.0:狩猟社会のSociety 1.0、農耕社会のSociety 2.0、工業社会のSociety 3.0、情報社会のSociety 4.0に続く新たな社会を指す。サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させた人間中心の社会を意味する
今回発表したLIGHTING ACTION for 2030では、3本のコア施策を展開。1つ目はSociety 5.0に対応する次世代照明「Lighting 5.0」の推進だ。松明(たいまつ)や蝋燭(ろうそく)などの人類が手にした最初のあかりをLighting 1.0、白熱電球をLighting 2.0、放電灯をLighting 3.0、LED照明をLighting 4.0と位置付け、明るさだけでなく人々の健康・安全・快適・便利にも貢献する付加価値照明としてLighting 5.0を普及させていくという。例えば安全であれば、停電時に自動点灯して支える明かり、災害を検知して知らせる明かりが相当し、光で照らすにプラスアルファした機能性がある照明の導入を後押しする。
2つ目の施策は、地球環境への貢献のために業界の枠を超えて交流を図り、共創や新ビジネスのきっかけを創出することを目的に、社会課題の解決に寄与する展示会への参加。第1弾として、2022年12月7〜9日に東京ビッグサイトで開催される環境の総合展示会「エコプロ2022」に出展予定。3つ目は情報発信を強化し、照明業界の動きを見える化すべく、LIGHTING ACTION for 2030のスペシャルサイト開設を挙げる。Webサイトでは、会員各社の製品についても広く紹介し、LIGHTING VISION 2030を達成するための具体策を提示していく。
JLMA 島岡氏「国内照明器具のストック数18.1億台、半数がLED化済み」
都内のホテルで開催した発表会でJLMA会長の島岡国康氏は、「グローバルでは付加価値照明はCSLやHCLと表現するのが一般的だが、それでは一般のユーザーになかなか気付いてすらもらえない。そこで、インパクトのあるLighting 5.0というネーミングとすることで、多くの方に関心を持ってもらえれば」とコメント。特に、照明は光るだけでなく、健康面や安全面、快適や便利といった暮らしへの貢献など、さまざまな効果があるという点を知ってもらいたいという。
続けて、現状の国内照明器具におけるストック数については、18.1億台と推定。「既に半数がLEDへと置き換えられ、このペースで進めば2030年までに8〜9割はSSL化を達成できる」としたうえで、「その一方で、蛍光灯がまだ付いている空き家のカウントが難しいといった問題もある。新戦略によって、そうした(抜け落ちている)部分への対応もより進め、最終的にSSL化率100%を達成できれば」(島岡氏)。
なお、JLMAはパナソニックや東芝ライテック、岩崎電気、アイリスオーヤマ、三菱電機、日亜化学工業など198社の会員で構成している。
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