三菱地所が災害時の情報連携プラットフォームを大丸有で実証、デジタルマップ上に受入施設の状況など表示:BCP(2/2 ページ)
都心や大都市での災害時の帰宅困難者対策は、3.11の教訓を踏まえると社会的にも関心が高いが、モデルケースとなる事例はまだ少ない。三菱地所は、大手町/丸の内/有楽町の大丸有エリアを対象に、災害時の情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta+」の実証実験を2022年12月〜2023年2月の約3カ月間、公民連携で行った。
複数のライブカメラ映像をWebとデジタルサイネージで放映
ライブ映像の収集・編成・放送では、大丸有エリアの夜間や荒天時といった録画も含めたライブカメラ映像を利用者の多いZoomやYouTubeを活用して集め、「ライブ映像編成装置」と独自に呼ぶオープンソースのソフトウェア「OBS(Open Broadcaster Software)」で、複数の映像を編集して放映。配信する映像は、災害対策機関と一般に分類して、災害ダッシュボードWeb版とデジタルサイネージ版で公開する。
デジタルサイネージなどへの一斉放送訓練では、首都直下地震を想定し、丸の内エリア内のデジタルサイネージ約100台に、模擬TVニュースの枠となっている外逆L字型のスペースを使い、Twitter情報とデジタルマップ版を一画面で表示。デジタルサイネージ版とデジタルマップ版の連動表示を検証した。また、2021年度に製作した緊急切替機「リモートスイッチ」で、スマホを使って、デジタルサイネージの「丸の内ビジョン」を遠隔で操作した。
リモートで説明会に参加した千代田区口調の樋口高顕氏は、「大都市や都心の帰宅困難者対策は前人未到の領域で、世間でも関心が高いプロジェクト。今回の実証実験は、大都市や都心でのモデルケースとなり得るので、各位と力を合わせて進めていきたい」とコメントした。
災害ダッシュボードBeta+について三菱地所は、「2022年度に千代田区と社会実装に向けた検討を進めるなかで、デジタルマップ版と機能拡張となるアプリ連携やライブ映像などを追加した新バージョンであり、災害時に実現性のある公民連携した取り組みをより一層推進する」とその有用性を示した。
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