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現場作業員の「集中力低下」をAIで感知、スマートウォッチ「Work Mate」に新機能追加現場管理(1/2 ページ)

AIを活用したデータ分析や電子機器関連のものづくりサービスを手掛けるユビテックは2023年2月17日、工場や工事現場などで働く作業者のバイタル情報を自動分析できる安全見守りサービス「Work Mate」の新機能をリリースした。新しい機能は、集中力が下がり、ケガや事故を引き起こしやすいコンディションを示す「注意力低下状態」を検知してアラート通知する。

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 不注意による高所からの落下事故や屋外の長時間労働に伴う熱中症など、建設現場において避けては通れない、労働災害。安全帯や作業服の機能向上、職場環境の改善といったさまざまな要因によって、一昔前よりは死傷者が減少傾向にあるものの、近年に限って言えば、下げ止まりの傾向にあるのも事実だ。厚生労働省が2022年5月に発表した「労働災害による死亡者数、死傷者数の推移」でも、その傾向は顕著に表れている。

 特に2021年は、「死傷者数」がここ数十年で最も高い数値を記録。もちろん完全に防ぐのは難しいにしても、これ以上の増加は防いでいかねばならないだろう。昨今の建設現場では、作業効率化による省人化や、労働安全管理のさらなる徹底など、早急な対策が求められている。

建設現場における死傷者数は、長年下げ止まり傾向が続き、近年は若干の増加傾向。事故防止の対策が急務
建設現場における死傷者数は、長年下げ止まり傾向が続き、近年は若干の増加傾向。事故防止の対策が急務 提供:ユビテック

作業者のバイタル状態を把握する「Work Mate」、アラート機能で事故を未然に防ぐ

ユビテック 代表取締役社長 大内雅雄氏
ユビテック 代表取締役社長 大内雅雄氏 提供:ユビテック

 そうしたなか、事故を未然に防ぐアイテムとして現場から注目を集めているのが、ユビテックが提供する安全見守りサービス「Work Mate」だ。同製品は、AIによって作業者のバイタル状況を屋内外問わずに把握できるスマートウォッチ。腕に装着して作業するだけで、職人本人の体の状態をリアルタイムで感知する。個人に合わせた休憩のタイミングが分かる他、活動量に基づいた「回復に必要な時間の目安」を通知する機能も搭載。疲れや睡眠不足など、体の不調によって引き起こされる事故や熱中症を未然に防げるようになる。

 ユビテック 代表取締役社長の大内雅雄氏は、「現場の三大事故と呼ばれる転倒、墜落/転落、はさまれ巻き込まれのほとんどは、集中力低下に伴う不注意が原因とされている。Work Mateで、そうした危険性を事前に回避できれば、建設現場における50%以上の広範囲な労災事故に対して、対策できるようになるだろう」と胸を張る。

「Work Mate」は、現場の三大事故と呼ばれる転倒、墜落/転落、はさまれ巻き込まれを含む、多くの労災事故を未然に防ぐ
「Work Mate」は、現場の三大事故と呼ばれる転倒、墜落/転落、はさまれ巻き込まれを含む、多くの労災事故を未然に防ぐ 提供:ユビテック

 安全確保以外にも、遠隔から職人の位置情報を確認できたり、注意喚起の通知を現場責任者にも届くようにしたりなど、周囲の人が作業者をサポートできる機能を有しているのも特徴だ。さらに、万が一事故が起きてしまった場合にも、管理者へSOS発報を送れるアラート機能も完備している。

 「常に忙しく動き続ける現場のなか、自身の体調変化を、個人だけで判断するのは難しい」と大内氏。自覚症状がない場合や言い出せずに悪化してしまうケースを少しでも防いでいければと言葉を続ける。

注意力低下や熱中症の予兆だけでなく、多彩な現場に対応したあらゆる危険予測をリアルタイムで検知する
注意力低下や熱中症の予兆だけでなく、多彩な現場に対応したあらゆる危険予測をリアルタイムで検知する 提供:ユビテック

 その多機能性が評価され、「Work Mate」を活用する企業は増加傾向。現在、鹿島建設やキリンビバレッジ、JFEエンジニアリング、住友化学、日本製紙など、大手の建設業/製造業を中心に約60社が導入している。企業側からも、「少人数の管理者で複数カ所の安全管理を実現させたかった」「熱中症対策は既に実施しているものの、全員一律の管理であり、個人の体調特性や作業特性を考慮した実用的な指標がなかったので、大変助かっている」など、好意的な意見は多いようだ。現場のDX化を推進する昨今の潮流も手伝って、今後も需要は増加する見通しになっている。

現場作業者の業務をサポートするシステムは、今後も需要増加が見込まれている
現場作業者の業務をサポートするシステムは、今後も需要増加が見込まれている 提供:ユビテック

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