三菱地所が災害時の情報連携プラットフォームを大丸有で実証、デジタルマップ上に受入施設の状況など表示:BCP(1/2 ページ)
都心や大都市での災害時の帰宅困難者対策は、3.11の教訓を踏まえると社会的にも関心が高いが、モデルケースとなる事例はまだ少ない。三菱地所は、大手町/丸の内/有楽町の大丸有エリアを対象に、災害時の情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta+」の実証実験を2022年12月〜2023年2月の約3カ月間、公民連携で行った。
三菱地所は2023年2月8日、大手町/丸の内/有楽町でのエリア防災の一環として、災害時の情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta+」の実証実験に関する説明会を東京・千代田の大手門タワー・ENEOSビル1階の3×3 Lab Future(さんさんらぼ フューチャー)で開催した。
同社では、大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)での防災対策として、2022年に発表した災害時の情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta」をさらに強化。2022年12月から2023年2月20日までの約3カ月間、実装検討中の機能検証を「災害ダッシュボードBeta+(ベータプラス)」として公民連携で実施した。
災害時の情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta+」
災害ダッシュボードとは、大規模災害時に災害対策機関での情報共有や帰宅困難者向けの情報発信を担うプラットフォーム。帰宅困難者の受入施設となる仮救護所の状況、駅や道路のライブ映像を集約し、行政や民間の災害対策機関で共有して、人員配置や物資移動など復旧活動を最適化する。周辺のビル管理者やインフラ事業者とも情報連携し、自助活動の支援に役立てる。さらに、Webやデジタルサイネージを活用し、避難者や帰宅困難者に発信することで、非常時の安心感につながる情報も提供する。
今回の機能検証は、これまでの実証を経て、千代田区災害対策本部と丸の内エリアで想定している「次世代防災拠点(災害対策拠点)」の機能となる「情報HUB」の実装に向け、帰宅困難者の対策や負傷者の搬送支援などを目的とした検討も行った。
前バージョンのBeta版からの新しい検証は、「災害ダッシュボードBeta+デジタルマップ版」「デジタルマップ版の大丸有エリアでの連携」「ライブ映像の収集・編成・放送」の3つ。加えて、「デジタルサイネージなどへの一斉放送訓練」もBeta版から引き続き行った。
このうち、災害ダッシュボードBeta+デジタルマップ版は、千代田区が以前から展開している「災害時退避場所案内図(PDF版)」をベースに、バスの運行情報をはじめ、帰宅困難者受入施設の開設/未開設/閉鎖や混雑状況などをリアルタイムで反映し、千代田区や災害対策本部からのメッセージも掲載したデジタル電子地図を試作。帰宅困難者に向けて交通情報や施設の情報を提供する。デジタルマップ上では、東京駅から近い皇居外苑といった退避場所は枠線で、病院もアイコンで示し、スマートフォンでその場所をタップすると、地図アプリ(Google マップ)が起動する。
デジタルマップ版の大丸有エリアでの連携は、スマホのブラウザで起動するQRコードを駅貼りを中心に掲出した。また、大丸有エリアに滞在している避難者が利用する可能性の高い、東京駅周辺の地元アプリ「丸の内ポイントアプリ(三菱地所)」「Oh MY Map!(大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)」「東京ステーションナビ(JR東日本クロスステーション、JR東日本コンサルタンツ)」との連携も検証した。
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