コクヨがデジファブ事業を始動 VUILDの木材加工機「ShopBot」で木素材の内装空間や家具を提案:デジタルファブリケーション(3/3 ページ)
コクヨは、東京品川オフィス内に新たな協創の場となる実験スタジオ「(0,0,0)studio genten」をオープンし、木素材をメインにしたデジタルファブリケーション技術を活用した新事業をスタートさせた。デジファブ事業では、米国製の木工用加工機(CNCルーター)「ShopBot(ショップボット)」を活用し、多様化するワークスタイルに応じた家具や内装造作などを制作し、「働く空間」の新たな価値創出を目指す。
3次元モデリングした3DデータもShopBotであればダイレクトに入力可
デジファブツールになぜコクヨがShopBotを選んだのか、その理由を小林氏は、「これまではアナログの手法で、1つ1つの形状を手作業でモデリングして、かなり手間が掛かっていた。しかし、ShopBotであればデザインデータをそのまま機器に入力するだけで加工でき、格段に制作スピードが速くなった」と話す。さらに、曲線や多層構造など複雑な形状を加工可能な利点もあり、加工範囲は4×8板、高さは150ミリまでだが、ユニットのように組み合わせていけば、より大型のアートや内装の制作も可能になる。
ShopBotで扱えるデータは、AutoCADなどのDXF形式の2Dデータに加え、3Dデータにも対応。スタジオゲンテンに展示している木製家具の3Dデータは、Rhinoceros上のGrasshopperでパラメータ調整して複雑な形状を3次元モデリングし、ShopBotにダイレクトでデータ転送して制作したという。
スタジオゲンテンは将来、一般の方にも開放を予定しており、「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」というパーパスの実現に向け、オフィス関連品のみならず多様な働き方に貢献する椅子やテーブルなど、デジファブで新しいモノづくりに挑戦していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「デジファブで建築の民主化を」VUILD秋吉代表が拓く建築ファブの夜明け【前編】──建築産業構造の突破口へ
DIYの下地が無い日本でも欧米に遅れること、都市の中で市民誰もがモノづくりを行える工房「FabLab(ファブラボ)」が各地に開設されてから数年が経つ。建築の領域では、マテリアルを切削や積層して形づくる3Dプリンタが、ゼネコンを中心に研究されているが、業界の裾野まで浸透するには、海外とは異なり法令規制など幾多の課題が立ち塞がっているため、まだ時間を要するだろう。しかし、デジファブによって、建築の産業構造そのものを脱構築し、建築モノづくりの手を市井の人に取り戻そうとする意欲的な建築家 秋吉浩気氏が現れた。 - 「建築の民主化」を掲げるVUILDのデジタル家づくり1棟目が完成、施主向けアプリも提供開始
「建築の民主化」を標ぼうするスタートアップのVUILDは、新事業のデジタル家づくりプラットフォーム「Nesting」を用いた1棟目の新築住宅が完成したことを公表した。Nestingには、専用の家づくりアプリが用意され、これまで施主にとって不透明だった見積もりの確認が、自身が仕様を変更するたびにリアルタイムで分かるようになり、思い通りの家づくりが手軽に実現する。 - 街と森の共生を目指す竹中らの「キノマチプロジェクト」、集大成のWebイベントが10月に開催
竹中工務店は、2019年に設立した木を都市空間で活用することを目指した「キノマチプロジェクト」として、各種オンラインとオフラインのイベントや交流機会の創出など、多面的な活動を展開している。2020年10月5日には、集大成ともいえる一大イベントを5夜連続で開催する。 - 竹中工務店らが新たな都市型水上交通の「自動運転船」を大阪城外堀で実証
近年、大都市臨海部は都市過密化により、交通や物流、環境、防災などの課題が複雑に絡み合っている。こうした課題に対して、竹中工務店を代表とする産学連携のロボットコンソーシアムでは、人・物の移動を支えるためには、都市部で有効活用されていない水域が重要な糸口になるとみなし、水上を自動走行する都市型自動運転船「海床ロボット」の開発を進めている。 - アキュラホーム、世界初「5階建て純木造ビル」実物大耐震実験
アキュラホームグループは、世界初となる木造軸組工法の耐震構造による「5階建て純木造ビル耐震実験」を実施した。実験では国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得。今後は実験データを建築確認申請などの実用性の根拠として活用し、木造の街並みの実現を目指す。 - いま注目の“AIによる画像生成”技術をインフラ分野へ応用する試み【土木×AI第15回】
連載第15回は、Web上で話題となっているAIで画像を自動生成する技術について、インフラ分野でどのように生かせるか、先端技術の論文を紐(ひも)解きながら紹介します。