竹中工務店らが新たな都市型水上交通の「自動運転船」を大阪城外堀で実証:MaaS
近年、大都市臨海部は都市過密化により、交通や物流、環境、防災などの課題が複雑に絡み合っている。こうした課題に対して、竹中工務店を代表とする産学連携のロボットコンソーシアムでは、人・物の移動を支えるためには、都市部で有効活用されていない水域が重要な糸口になるとみなし、水上を自動走行する都市型自動運転船「海床ロボット」の開発を進めている。
竹中工務店を代表法人とする海床ロボットコンソーシアムは、都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の実証実験を2021年12月15〜16日、大阪城公園の東外堀で実施した。
海床ロボットは、海や運河、河川、湖沼などの水面に浮かべた3メートル四方の床が自動で動き、離着岸する自動運転船。
開発の背景には、日本の都市は古くから川辺や海辺を中心に形成されてきたが、今では大都市の臨海部は過密化により、交通、物流、環境、防災などといった問題が山積みとなっていることがある。そのため海床ロボットコンソーシアムでは、都市部の有効活用されていない水域を対象に、都市型自動運転船を航行させることで、さまざまな都市課題を解決することを目標にしている。コンソーシアムのメンバーは、竹中工務店、東京海洋大学 海洋工学部 清水研究室、IHI、炎重工、水辺総研、新木場海床プロジェクト、ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会。
今回の実験では、海床ロボットコンソーシアムが開発する純国産制御システム搭載の「海床ロボット」を大阪・関西万博の会場となる夢洲内の水域に見立てて、大阪城公園の東外堀に浮かべ、新しい水上モビリティの可能性を検証した。
ロボットはタブレットのインタフェースで操作し、水上自動走行をテストしたほか、高い精度の位置制御を行い、桟橋への自動離着岸を行った。また、建築スタートアップのVUILDとセンティードの協力のもと、デジタルファブリケーションで、用途に応じて船の上屋の変更が可能な仕組みも確認した。
海床ロボットコンソーシアムは2022年以降、運搬ドローン連動機能や複数ロボットの群管理の実験を目指し、運搬、環境、エンタテイメント、防災など用途に合わせた開発に着手するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設専門コンサルが説く「これからの市場で生き抜く術」(4):【第4回】人口減時代を乗り切る、地場ゼネコン2社の“サステナブル・モデル”事例報告
本連載では、経営コンサルタント業界のパイオニア・タナベ経営が開催している建設業向け研究会「建設ソリューション成長戦略研究会」を担う建設専門コンサルタントが、業界が抱える諸問題の突破口となる経営戦略や社内改革などについて、各回テーマを設定してリレー形式で解説していく。第4回は、地場ゼネコン2社の他には無い好対照の独自ビジネスモデルを例にとり、地方建設会社がいかにして持続可能性のある事業展開ができるのかを考察していく。 - ロボット:本設エレベーター仮使用時にロボットによる複数階での資材配送を実現、竹中工務店
竹中工務店は、同社が開発した「建設ロボットプラットフォーム」やRice Robotics製の自律走行型配送ロボット、三菱電機製のエレベーターを活用し、建設現場の複数階でロボットによる資材配送を可能とするシステムの実証実験を行った。今回の実証では、BIMで配送ロボットの経路を設定し、エレベーターとの連動を実現して、複数階での自動配送を検証した。その結果、配送ロボットにより、軽材料の搬送や熱中症対策となるドリンクの運搬など、必要なものを必要な場所へ運べるとともに、360度カメラを搭載することで、工事進捗も確かめられることが判明した。 - クラウド:建設プロセスだけでなく人事や経理も含む全データをクラウドに集約、竹中工務店が「建設デジタルプラットフォーム」の運用開始
竹中工務店は、建設生産プロセスの営業から維持保全までに加え、人事や経理なども含む、全データを一元的にクラウドへ集約する「建設デジタルプラットフォーム」の運用を開始した。建設デジタルプラットフォームにより、建物及び業務プロセスのデジタルツイン構築を目指し、建設業界のデジタル変革を牽引していくとしている。 - ロボット:戸田建設が自律走行ロボを活用し、ビル内全体のCO2計測と情報共有のシステムを開発
戸田建設は、自律走行ロボットを使用し、「ビル内移動環境計測・通知システム」のプロトタイプを開発した。ビル内移動環境計測・通知システムは、自律走行ロボットに搭載したCO2センサーとビル内に設置されている固定型CO2センサーの情報を統合させ、実態に即したCO2濃度情報をビル管理者に提供する。加えて、ビル内の従業員や来訪者へCO2濃度に基づく環境情報を通知する。 - ロボット:JFEエンジらがプラント建設で役立つ3機種を開発、機器据付時間を90%減らすロボとは?
JFEエンジニアリングは、アクティオや岡谷鋼機とともに、プラント建設で役立つ現場用施工ロボット「ECoCa」「Carryf」「Dexhand」を開発した。 - プロジェクト:日本GLP、「GLP ALFALINK 流山」街びらきイベントと内覧会を開催
日本GLPは、千葉県 流山市の大規模多機能型物流施設プロジェクトの中核の一つである「GLP ALFALINK流山」の街びらきイベントおよび内覧ツアーを開催した。