コクヨがデジファブ事業を始動 VUILDの木材加工機「ShopBot」で木素材の内装空間や家具を提案:デジタルファブリケーション(2/3 ページ)
コクヨは、東京品川オフィス内に新たな協創の場となる実験スタジオ「(0,0,0)studio genten」をオープンし、木素材をメインにしたデジタルファブリケーション技術を活用した新事業をスタートさせた。デジファブ事業では、米国製の木工用加工機(CNCルーター)「ShopBot(ショップボット)」を活用し、多様化するワークスタイルに応じた家具や内装造作などを制作し、「働く空間」の新たな価値創出を目指す。
ShopBot×コクヨ製スチールで、家具、内装造作、アート作品を制作
スタジオゲンテンの利用者については、当面はコクヨ社員と、設計事務所の利用を想定。ShopBotによる制作物としては、家具、内装造作、インスタレーションをはじめとするアート作品などで、このうち家具は、コクヨが提供している椅子やテーブルの脚など既製品の鉄製パーツと、ShopBotで加工された木材を組み合わせ、新たなファニチャーを制作。機能性や品質に優れたコクヨ製スチールとデジタル加工によりカスタマイズされた木製パーツの融合で、在宅ワーク用のイスやデスクなど個別化する顧客ニーズに対応したモノづくりを行っていく。
一方、内装造作では、アルゴリズミックデザインなどで作成した複雑な形状の3DデータをもとにShopBotで製作し、プロトタイピングを繰り返しながら、企業それぞれのありたい姿に近づけるべく、オリジナルかつ理想とする働く環境につながる壁やパーテーションなどの内装制作を試みる。
その他に、オフィスなどの空間づくりでも、企業のロゴやシンボルなどと組み合わせ、ShopBotでアウトプットすることで、アート作品のようなオブジェやオフィス家具なども、データと加工機による再現性があり、デザイン性にも優れたモノづくりに挑戦し、企業の世界観を体現したオフィス空間を総合的に実現させる。
これまでの空間づくりの実績では、東京都江東区豊洲にあるNTTデータの「INFORIUM豊洲イノベーションセンター」内オープンエリアに設置してあるロゴ入りの壁面をShopBotで制作。VUILDや設計事務所の協力も得ながら、凹凸が連続する形状をモデリングするためのアルゴリズムを構築し、3Dデータを作成してShopBotで木材を加工した。
コクヨ ファニチャー事業本部1スペースソリューション本部 クリエイティブデザイン部 第1グループ 小林智行氏は、「スタジオゲンテンは、新たな家具製品を創り出して市場へ販売展開する製作現場というよりも、当社の空間づくりや家具づくりの部門10人ほどの運用メンバーと、VUILDとの連携も含めて外部の設計事務所やデザイナーとがコラボして、働く空間をどう作っていくかを試行錯誤するデザインとモノづくりの実験の場となる」と話す。
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