前橋市がデジタルツイン活用の交通事故削減サービス、東京工科大が協力:インフラ維持管理
東京工科大学の研究チームは、内閣府「デジタル田園都市国家構想推進交付金(TYPE3)」事業の一環で、群馬県前橋市が産学連携で取り組む、デジタルツインを活用した交通事故削減の市民向けサービス「デジタルツイン あんぜん運転スコアリング」の開発に協力した。将来的には、定常的な市民サービスとして社会実装を目指す。
東京工科大学デザイン学部の田村吾郎准教授らの研究チームは、内閣府「デジタル田園都市国家構想推進交付金(TYPE3)」事業の一環で、群馬県前橋市が産学連携で取り組む、デジタルツインを活用した交通事故削減の市民向けサービス「デジタルツイン あんぜん運転スコアリング」の開発に協力した。
レーシングチーム「トムス」と共同開発した没入型運転シミュレーターを採用
新サービスは、田村准教授らが開発した半球体スクリーン装置を運用するWONDER VISION TECHNO LABORATORYとレーシングチーム「トムス」らが共同開発した没入型運転シミュレーターと、前橋市のデジタルツイン環境を組み合わせ、運転者の認知や技能などを判定する。
2022年3月に前橋市役所で実施した実証実験から得た知見などに基づき、市民サービス向けシステムに大幅刷新したもので、シミュレーター運転者の空間認知能力、標識・法令の理解度、ステアリング・ブレーキ・アクセルなどの操作の適切性などを判定し、運転の測定や評価を行う。
サービスに用いる半球体スクリーン技術「Sphere(スフィア) 5.2」は、5.2(幅)×3.4(高さ)×2.6(高さ)メートルの半球状スクリーンに、4Kや8Kの映像を投影し、スクリーン中心付近で90〜95%の視野カバー率。他デバイスの装着は不要で、モーションベース、送風装置、立体音響装置などを組み合わせて、五感を刺激するリアルな視覚体験が実現する。
また、最短約4時間で組み立てと分解が可能な可搬性を持つ。既に、製品やサービスのプロモーション、マーケティング、運転訓練シミュレーション、医療、スポーツ、芸術など幅広い分野での活用が進んでいるという。
第1次となるサービスは、2022年11月8〜17日まで前橋市中央公民館にて実施。2023年初頭には第2次サービスを2カ月間程度予定している。将来的には、前橋市独自のIDやデータ連携基盤と連動した定常的な市民サービスとして社会実装を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東急建設がインフラ新技術の開発を本格化、初弾でトンネル自動点検システムを順次適用
東急建設は、インフラ点検における新技術の開発へ本格的に乗り出す。初弾では、内閣府主導で府省・分野の枠を超えて開発されたトンネルの自動点検システムを実施工物件に適用を進め、社会実装を目指す。 - 無垢材を用いた内装空間のリラックス効果を検証、三菱地所と乃村工藝社
三菱地所は、乃村工藝社とともに、林野庁の補助事業「令和4年度 内外装木質化等の効果実証事業」に採択されたプロジェクトで、「無垢材などを用いた内装空間によるリラックス効果」を検証する。 - 交通規制なしで、トンネル全断面を点検
東急建設は「トンネル全断面点検システム」の実証実験を千葉県内のトンネル工事で行った。自在に形を変えられるガイドフレームが、道路をまたぐことで、交通規制を敷くことなく、トンネル内の全断面を点検することができる。 - 1年間で40億円の工事をマッチング「解体業を革新する建設テック」
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードすることができます。今回のブックレットでは、ITを建設分野に応用する技術革新「建設テック(CON-TECH)」で、解体工事業界が抱える構造的な問題の解消を目指す、名古屋に本社を構えるスタートアップ企業・クラッソーネの挑戦を紹介します。 - 自律型ロボットが活躍する新世代の建築生産システム、建設現場のロボ開発最前線
1804年に創業した大手建設会社の清水建設。戦前から研究開発にも注力してきた同社は、1944年に技術研究所を設置し、建設技術の進歩をリードしてきた。「10年後を準備する」をキーワードに現在ではロボットやAIを活用した生産革新にも取り組んでいる。