「吉祥寺」駅前の旧耐震基準マンション建て替えで環境配慮型オフィスビルにリノベ、ケネディクスと富国生命保険が協働で:リノベ
ケネディクスは、「吉祥寺」駅前に所在する築50年の旧耐震基準マンションを解体し、環境配慮型賃貸オフィスビルを着工したと発表した。マンション敷地売却制度を活用し、制度に不動産証券化のスキームを組み込み、ノンリコースローンを調達。区分買収のためのファンドも創設した。
ケネディクスは2022年10月13日、「吉祥寺」駅前の築50年の旧耐震基準マンションを解体し、環境配慮型の賃貸オフィスビルを着工したと発表した。なお、敷地の売却にあたり、投資家として富国生命保険と協働でオフィスビル開発に取り組む。
マンション敷地売却制度と不動産証券化を活用
国土交通省によると、築40年を超えるマンションは2019年末現在で92万戸存在しているが、10年後には約2.3倍の214万戸、20年後には約4.2倍の385万戸となるなど、老朽化や管理組合の担い手不足が進むと見込まれている。こうしたマンションへの対応を目的に、2002年にはマンション建て替え円滑化法が制定。その後、2014年に法改正し、マンション敷地売却制度が創設された。
ケネディクスはマンション敷地売却制度に着目し、不動産証券化のスキームを組み合わせることでノンリコースローン(非遡及型融資)を調達。さらに、区分買収のためのファンドも創設した。協働してマンション開発に取り組む富国生命保険は、マンション敷地売却決議を経て、敷地を売却する際に招聘した。
再開発プロジェクトでは、投資家への利益還元の他、地域コミュニティー、権利者や利用者など、さまざまな対象に対して価値提供を行うことなどで、老朽化マンションの建て替えを進めていく。
マンション敷地売却制度の概要
マンション敷地売却制度は、老朽化が進み維持修繕が困難なマンションの再生の円滑化のため2014年に施行された法制度。本制度の活用により、円滑に改修や建替え等を行うことが可能となる。本来であれば民法の規定に則り全員の承認が必要な敷地売却を耐震性が不足しているマンションについては建替えと同じ、5分の4以上の同意で実施することができる。また、敷地売却後は、新たなマンションへの建て替えのみならず、オフィスや商業など立地に適した用途への再生が可能となることから、周辺環境に応じて土地評価を最大化する手法を選択し、資産評価額の最大化を図れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リノベ:ホテルを改修したオフィスビルを東京・五反田で開業、リアルゲイト
リアルゲイトは、東京都品川区東五反田でスタートアップや個人事業主を対象としたオフィスビル「THE CASK GOTANDA」を2022年4月1日にオープンした。THE CASK GOTANDAは、テンワスが所有するホテルを改修したもので、2022年中に満床となることが見込まれている。 - リノベ:東京都でPandemic Readyを初適用した大規模リノベーション工事に着手、清水建設
清水建設は、東京都千代田区のオフィス「第一生命日比谷ファースト(旧:DNタワー21)」で大規模リノベーション工事を進めている。今回の工事は、第一生命保険がDNタワー21を単独所有にしたことを機に実施するもので、清水建設が設計・施工を受注し、順天堂大学 大学院医学研究科感染制御科学 堀賢教授と共同開発した感染リスク評価手法(Pandemic Ready)を初適用する。 - リノベ:鹿島建設が六本木でワークプレースをオープン、多様な働き方に対応
鹿島建設は、東京建物とともに、東京都港区で共同で保有する六本木和幸ビルを改修し、ワークプレース「Kant.」としてオープンした。 - リノベ:北海道札幌市のホテルの客室70室を「アートルーム」にリニューアル、オリックス不動産
オリックス不動産は、北海道札幌市中央区にある「クロスホテル札幌」のリニューアルが2022年4月下旬に完了したことを発表した。クロスホテル札幌では、181室の客室を3期に分けてリニューアル工事を行っている。具体的には、2019年4月に14〜17階の客室を「クロスフロア(45室)」に、2020年7月に9階〜13階の客室を「アートルーム(66室)」にリノベーションし、今回が最後のリニューアル工事となる。 - 産業動向:ミライト・ホールディングスが統合しミライト・ワンに、目標は2030年度に売上高1兆円
通信建設会社のミライト・ホールディングスは、2022年7月にミライト・ホールディングス、ミライト、ミライトテクノロジーズの3社を統合し、ミライト・ワンを設立することを公表した。ミライト・ワンでは、2030年に向けたビジョンの「MIRAIT ONE Group Vision 2030」に沿って、「人間中心経営」「事業成長加速」「利益性トップクラス」「データインサイト マネジメント」「ESG経営基盤強化」といった5つのチャレンジを行う。 - リノベ:病院のリノベによる有料老人ホームが京都で竣工、三菱地所レジデンス初の取り組み
三菱地所レジデンスは、京都府京都市中京区で病院をリノベーションし開発を進めていた有料老人ホーム「プレザングラン京都円街」が2022年4月1日に開業することを公表した。病院を有料老人ホームにリノベーションする事業は、三菱地所レジデンス発足以来、初の取り組みになるという。