東京都でPandemic Readyを初適用した大規模リノベーション工事に着手、清水建設:リノベ
清水建設は、東京都千代田区のオフィス「第一生命日比谷ファースト(旧:DNタワー21)」で大規模リノベーション工事を進めている。今回の工事は、第一生命保険がDNタワー21を単独所有にしたことを機に実施するもので、清水建設が設計・施工を受注し、順天堂大学 大学院医学研究科感染制御科学 堀賢教授と共同開発した感染リスク評価手法(Pandemic Ready)を初適用する。
清水建設は、東京都千代田区のオフィスビル「第一生命日比谷ファースト(旧DNタワー21)」の大規模リノベーション工事に着手したことを2022年5月23日に発表した。
感染リスク評価ポイントは全項目で3点以上を取得
DNタワー21は、1993年に竣工し、築後30年近くが経過する。一方、現在、不動産ストックの大半を占める築30年以上のオフィスビルでは通常、1人当たりの専有面積(5〜7平方メートル)、換気風量(20立方メートル/h/人=建築基準法)、扉や水栓といった人手が接触する部分の仕様などを勘案すると、飛沫、マイクロ飛沫、接触で生じる各感染リスクに対処しなければならない。
そこで、第一生命日比谷ファーストの大規模リノベーション工事を計画するにあたっては、コンセプト「ポストコロナ時代のウェルビーイングが高まるオフィスビル」に適した仕様にすべく、清水建設はPandemic Ready※1を初適用して、4種の感染経路(空気、エアロゾル、飛沫、接触)ごとに感染リスクを低減するハード(建築/設備)、ソフト(運用/備品)を含む総合的な対策を提案した。
※1 Pandemic Ready:清水建設と順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学の堀賢教授が策定した、建物内の感染防止機能を評価する「感染リスクアセスメントツール(オフィス版Ver.1.0)」と感染対策リスト「ソリューションマトリクス」から構成されるコンサルティングツール。
その結果、ニューノーマル時代における新しい働き方と運用方法を織り込み、「Pandemic Ready改修」を行っている。
Pandemic Ready改修では、前提として、発注者の第一生命保険と協議しただけでなく、出社率を約6割に設定。次に、平常時でも1人当たりの専有面積を従来の8割増となる9平方メートルとし、運用上の換気風量を建築基準法の1.5倍に相当する30平方立法メートル以上とする。
さらに、オフィス内での多様な働き方に対応するために机の4割を可動机とし、固定机を含めて1.8メートルの座席間隔を確保する運用を行うことで、エアロゾル感染と飛沫感染のリスクカットを図れる。
加えて、接触感染リスクを減らすために、開閉に非接触ICカードを採用したセキュリティゲート、QRコードを活用した受付システム、自動扉を装着した主要出入口とトイレの出入口を備えるとともに、エレベーターなどには抗菌・抗ウイルス仕様を採用するだけでなく、各所に手指消毒液を設ける。
こういった総合的な取り組みの結果、Pandemic Readyによる第一生命日比谷ファーストの総合評価(5段階評価)は、接触が3.17点、飛沫が3.83点、エアロゾル感染が3.56点、空気感染が3.44点となり、感染対策として必要十分な対策が施されていると判断される3点を各項目で大きく超え、高いレベルに達しているという評価を得ている。
第一生命日比谷ファーストの概要
第一生命日比谷ファーストは、S造・RC造の地下5階/地上24階建てで、延べ床面積は9万7966平方メートル。所在地は東京都千代田区有楽町1-13-1。設計・施工は清水建設が担当し、竣工は2023年度中の予定だ。
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