「漏えい電流測定」と「分電盤の定期点検」のサービスをNECファシリティーズが提供開始:維持検査・点検
NECファシリティーズは、電気設備の漏えい電流を測定し、漏電箇所を特定して修理修繕を提案するサービスと、分電盤の端子部をサーモグラフィーで定期的に測定するサービスを開始した。
NECファシリティーズは、顧客の工場に常駐して施設の安定稼働を見守る施設管理業務のアウトソーシングを提供しており、付帯メニューの1つとして、電気設備の漏えい電流を測定し、漏電箇所を特定して修理修繕を提案している。2022年9月末には、分電盤の端子部をサーモグラフィーで定期的に測定するサービスと併せて、業務委託関係にない関西地方の工場にもサービスの提供を開始した。
両サービスの目標は2023年度に10社の受注
電気設備は劣化や破損による漏えい電流が発生すると絶縁抵抗が低下し、感電事故や火災、停電などの恐れがあり、消防庁に寄れば、工場火災の多くが作業場での発火、漏電に起因している。
漏えい電流は配線被覆の劣化や傷が原因となるが、劣化の速度は設置環境により異なり、数年おきの定期点検などでも確実に防ぐことが困難で、一方、点検時には電気を遮断する必要があり、頻繁に検査するのも難しい。こうした事情から、停電せずに漏えい電流を頻繁に測り、漏電箇所を特定するサービスが好評を得ていたという。
漏電箇所の特定サービスでは、豊富な工場施設管理の実績で培った電気設備診断のスキルを保有した技術者が、佐鳥電機の絶縁監視装置「Leakele(リーケル)」を使用し、電気を遮断せずに漏えい電流測定を行って漏電箇所を特定する。事前に電気設備図面からコンバーターの設置や回路の分岐数などの環境を把握し、測定結果と併せて分析して判定する。さらに測定データから劣化傾向を分析し、点検タイミングや修繕時期も提案する。
さらに、分電盤の端子部をサーモグラフィーで定期的に測定し、安全な70度以下の状況であることを確認するサービスも同時に展開。サーモグラフィーは、電路部の端子ネジの緩みや部品の劣化などによる異常な加熱を発見できるため、熱を伴う劣化の診断には効果的だ。
今後、NECファシリティーズは、サービス提供を関西地方から開始し、将来は全国へ展開し、まずは2023年度に10社の受注を目指す。
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