建設業の請求書処理を電子化するAIベンチャー「燈」に聞く 独自のSaaSがなぜ中小ゼネコンに多数導入されたのか?:AI(3/3 ページ)
多数の中小ゼネコンでは、紙ベースの請求書で受発注などの処理業務を行っており、確認と承認の作業だけでも、仕分けや郵送、開封、移動の煩雑な手間と時間が生じている。解決策として、AIベンチャー企業の燈は、場所や時間を問わずにインターネットを介して、電子請求書の共有や確認、承認が行える建設業向けの請求書処理業務DXサービス「Digital Billder」を開発し、中小ゼネコンをメインターゲットに提案している。
請求書に特化した光学文字認識と連携
――Digital Billderの効果と今後の展望について
石川氏 Digital Billderの導入効果としては、紙の請求書処理業務で行われていた運搬や出社、承認の押印、整理、過去の原本取り出し、会計システムへの手入力といった業務効率を阻害していた要因が解消される。さらに導入することで、場所や時間を選ばずに請求書の処理業務に応じられ、自宅や外出先でも可能になるため、社内業務の新型コロナウイルス感染症への対策としても有効だ。
こういった利点が評価され、既に大東建託、飛島建設、吉成建設、山本建設、永賢組、星野建設、屋部土建、旭建設、遠鉄建設などで、Digital Billderは導入されている。
今後の展望に関しては、開発を進めている建設業の請求書に特化した「光学文字認識」※2を完成させ、Digital Billderと連携させることで、請求書情報の手入力作業をより一層減らしたい。
※2 光学文字認識:光学文字認識は、活字、手書き文字の画像を文字コードの列に変換するソフトウェア
さらに、Digital Billderで協力会社に発注が行えるように、カスタイマイズし、発注書と請求書のデータをひも付けできるようにする見込みだ。引き続き、建設業で請求書サービスの仕様統一化を推進し、業界の省力化を後押ししていくつもりだ。
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