水分摂取と深部体温の上昇に着目した熱中症予防システムを現場検証、東急建設:熱中症対策
東急建設は、建設現場の熱中症災害ゼロを目指し、技能労働者の水分摂取量や摂取回数と、深部体温の上昇に着眼した熱中症予防システムを開発し、2022年夏に首都圏と九州の作業所で有効性の検証を行った。なお、同社ではこれまで、「バイタルサイン」を検証し、熱中症を未然に防ぐ能動的予防技術の開発に取り組んできた。その経験から、従来の単一要素ではなく、複数要素を組み合わせた予防が有効だとの結論に至り、なかでも対策効果が期待できる水分摂取と深部体温に着目し、今回の検証を実施した。
東急建設は、建設現場の熱中症災害ゼロを目指し、技能労働者の水分摂取量や摂取回数と、深部体温の上昇に着眼した熱中症予防システムを開発し、2022年夏に首都圏と九州の作業所で有効性の検証※1を行ったことを2022年8月29日に発表した。
※1 首都圏と九州の作業所で有効性の検証:2022年8月上旬には福岡県福岡市中央区のオフィスビル建築作業所で6人の実験協力者と実施し、同月下旬には東京都千代田区のマンション建築作業所で10人の実験協力者と検証を行った。いずれも、実験協力者は技能労働者が担当した。
2023年には数件の建設現場に試験導入する予定
新システムは、九州大学大学院工学研究院の野上大史助教が持つ水分摂取の知見と、深部体温測定のノウハウを有するミツフジのウェアラブルデバイスを組み合わせて開発された。
今回の検証では、水分摂取、対象者の深部体温、現場での有用性について調べた。水分摂取の検証では、市販の水筒にセンサー内蔵の計測器を装着し、加速度センサーにより摂取量と摂取回数の計測を行い、温度・湿度センサーによって現場内の局所環境情報を取得することで、実験協力者の作業環境を把握した。
深部体温については、腕時計型のデバイス「hamon band(ハモンバンド)」を着用した実験協力者の脈波から体温上昇の度合いを測った。
現場検証では、水分摂取と深部体温上昇の関連性やバイタルセンシング※2による予防策の検討を行った他、腕時計型デバイスの常時装着が作業を阻害しないかをリサーチした。
※2 バイタルセンシング:人の心拍数や血圧、体温、目の動きといった、生きている証(バイタルサイン)を計測する技術。
今後は、上記の検証によるモニタリングデータを分析し、水分摂取や体温上昇のアラート情報を表示するソフトウェアの開発を進め、2023年には数件の建設現場に試験導入する予定だ。将来には、別要素の組み合わせや建設業以外での適用も視野に入れて、開発と検証を行う。
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