作業員安全見守りサービスの新機能「AIヒヤリ・ハット予報」:現場管理
ユビテックは、工場や工事現場などで働く作業者の安全見守りサービス「Work Mate」の新機能「注意力低下検知機能『AIヒヤリ・ハット予報』」を開発、鹿島建設と共同で試行運用を開始した。労災事故原因の40%を占める転倒・転落の抑止力を強化する。
ユビテックは、工場や工事現場などで働く作業者の安全見守りサービス「Work Mate」の新機能「注意力低下検知機能『AIヒヤリ・ハット予報』」を開発し、鹿島建設と共同で試行運用を開始した。
Work Mateは、バイタルデータから熱中症の予兆を検知し、さらに回復状態の検知により適切な休憩、現場復帰を促すことが可能だ。
さらに新機能では、工場や工事現場での不安全行動につながる「注意力低下状態」をバイタル情報と加速度情報から検知し、AIヒヤリ・ハット予報として管理者・本人へ通知する。作業員の見守り強化や配置転換など現場改善を促す機能を新たに実装することで、現場の安全対策をさらに充実する。併せて睡眠状態のアンケート結果や、前日までの疲労蓄積度、身体負荷レベルも集計し、注意力低下につながる根本的な要因まで分析する。
今後は、鹿島建設の新名神高速道路枚方工事に従事する作業員20人を対象に、スマートウオッチを現場作業者に7カ月間着用してもらい、AIヒヤリ・ハット予報の有効性を検証していく。
厚生労働省によれば、2020年度(令和2年度)の「転倒・転落」による労災事故死傷者数は、全体の40%に上る。原因の1つである「つい、うっかり」といった不安全行動の原因は、睡眠不足や疲労蓄積、高ストレスに伴う血流低下による注意力低下が影響しているといわれる。同社はこの点に着目し、作業者の不安全行動につながる注意力低下の状態を検知し、管理者・本人へ通知するため、AIヒヤリ・ハット予報を開発したという。
両社は、Work Mateの試行運用第1弾として、2021年3月より鹿島建設の新名神高速道路枚方工事において、熱中症予兆検知やバイタルデータ管理、位置測位の各種機能の有効性確認を行っている。2021年5月〜2021年10月、Work Mateからの「熱中症予兆アラート」を受けた作業者の86%が休憩や活動量を緩和し、この期間、熱中症患者は発生しなかったという。
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