電源を入れるだけ、遠隔で新人教育が可能なスマートグラス「SynchroAZ」:第4回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
シンクロアイズが開発したメガネ型の遠隔支援システム「SynchroAZ」を装着して現場に入場すると、現場作業員の見ている映像が、そのまま外部のPCから見られるようになる。また、装着した人に対して、外部から映像や音声での指示もできるため、新人への作業指示や手順確認など、人材育成でも活用が見いだせる。
SynchroAZは、電源ボタンを押すだけでビデオ通話が始まるので、誰にでもすぐに使える。操作はそれだけなので、事前の研修なども不要だ。稼働時間は本体の100ミリアンペアのバッテリーで40〜50分程度だが、市販のモバイルバッテリーにUSBタイプCで接続すれば、長時間使用にも耐える。解像度は映像で1280万画素、動画で4K/30fpsもしくは1080p/60fps。
カメラ位置が目の前になるように配置されているのも特長だ。カメラの位置が絶妙なので、外部端末で見る映像がSynchroAZを装着している人の視界とほぼ同じになる。視界が同じだと、映像を見る際にも見落としがなく、的確な指示が出せるだろう。なお、メガネ使用者でもメガネの上から装着可能とのこと。
ちなみに、SynchroAZの画像や映像は、複数台のPCで同時に見ることにも対応している。プラントなどの維持管理など、専門分野が異なる複数の熟練技術者が同時に見れば、作業の安全性や正確性が高まる。
外部からカメラや映像の遠隔操作も可能
SynchroAZは、外部から現場スタッフが装着しているSynchroAZに対しても操作ができる。外部操作の機能では、SynchroAZのディスプレイに対し、接続している外部のPCから文字や映像などを送って表示できる。作業が複数のステップに分かれているようなケースでは、その手順を表示しておけば正しい順番で作業が行える。従来のように現場で紙のマニュアルなどを見ながら作業するのに比べて、両手が使える状態で手順を確認できるのは作業効率の面でもメリットが大きい。
また、SynchroAZの映像を録画したり、瞬間を撮影することも遠隔で可能だ。特に静止画の撮影では、スマートグラスの操作によって起きがちな手ブレを回避。外部から撮影すると、撮影のタイミングがカウントダウンされ、3秒後にシャッターが切れる。
SynchroAZは、最低使用期間1年以上のレンタルとして提供。月ごとの料金は、30時間までが月額3万5000円で、30時間以上は1分あたり20円がかかる。利用に際しては、インターネット接続用のルーターが必要となり、モバイルルーター本体の貸し出しと通信費を含むWi-Fiルータープランも別途用意されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- XR:建設向けAR変換のサブスクを提供開始、NSW×PTC
NSWとPTCは、建設現場の働き方改革を促進するARを活用した新サービス「ConstAR」の提供を開始した。 - ICTツールと建材調達のプラットフォームを提供:「IT監督」が中小建設業のDXを全面支援、飛島建設とNTT東日本が4月にBPOサービス会社設立
飛島建設とNTT東日本は、これまで建設業界でIT導入が浸透しなかった問題点を解消すべく、現場とITに精通した「IT監督」によるワンストップサービスを展開する新会社「ネクストフィールド」を立ち上げる。 - XR:mixpace×BIM 360のセミナーレポート、連携機能や関東地整などのAR活用事例
ホロラボが開発し、SB C&Sが販売するBIMモデルを手軽にAR/MR化する「mixpace」と、クラウドサービス「BIM 360」が連携した。双方の連携により、BIM 360上で管理するBIMモデルをシームレスにAR/MRデータへと変換できるようになる。その詳細な機能について、2021年11月に開催されたオンライン製品説明会を通してレポートする。 - 現場管理:遠隔臨場ツール「Gリポート」がウェアラブル対応、内蔵と外付けのカメラ切り替えが可能
エコモットは、建設現場の遠隔臨場ツール「Gリポート」に外付けカメラのオプションを追加し、ヘルメットにカメラを装着してウェアラブル仕様での利用を可能にした。 - 電子ブックレット(BUILT):「第7回 ウェアラブル EXPO」注目ブースまとめ
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードすることができます。今回のブックレットは、建設と点検向けのウェアラブル端末や業務改善ソリューションが展示される専門展「第7回 ウェアラブル EXPO ウェアラブル 開発・活用展」で注目を集めたブースのまとめです。 - 建設現場を“可視化”する「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり(3):【第3回】RTK-GNSSが苦手な「屋内」の建設現場で有効な2種類の測位技術
本連載では、日立ソリューションズの建設ICTエバンジェリストが、建設業界でのセンサー技術の可能性について、各回で技術テーマを設定して、建設テック(ConTech)実現までの道のりを分かりやすく解説していきます。第3回は、RTK-GNSSが苦手とする「屋内」の建設現場で有効な測位技術について用途も交えて紹介します。