建設向けAR変換のサブスクを提供開始、NSW×PTC:XR
NSWとPTCは、建設現場の働き方改革を促進するARを活用した新サービス「ConstAR」の提供を開始した。
日本システムウエア(NSW)とPTCジャパンは2022年3月31日、AR活用で建設現場の生産性向上を図る新サービス「ConstAR(コンスター)」の提供を開始した。
建設業の「働き方改革の切り札」と位置付けるAR変換サービス
人材不足や働き方改革が大きな課題となっている建設業界では、作業員の生産性や作業効率の向上が期待できる効果的なデジタル活用と新しい働き方の推進が求められている。
現状の解決に向けて、NSWとPTCは2021年6月より建設業界のデジタルツイン構築と新ビジネスモデルの支援に向けた協業を開始。その一環で、このたび建設現場にARを採り入れたConstARのサービスをスタートさせることとなった。
ConstARは、デジタル構築を強みとするNSWが、精度の高いARコンテンツを短時間で開発するPTCのARソリューション「Vuforia Studio」をベースに、建設現場向けに最適化したARサービスとして月額のサブスクリプションで提供する。
ConstARのARコンテンツ作成は、プログラミングの専門知識が要らずに、平面の2次元図面データや3DCAD、BIMモデルを事前にインストールしたソフトウェア上でドラッグ&ドロップするだけで完了。変換したARコンテンツは、Webブラウザ経由でクラウドサーバにアップロードすれば、いつでもどこでもAR投影が可能になる。現場では、専用のARビュワーアプリをスマートフォンやタブレット、ヘッドマウントディスプレイ(スマートグラス)などにダウンロードして、投影位置に置くマーカーを読み取ることで投影する。
ARを建設現場に活用することで、実寸図面の参照や大型機器の現場搬入時に3Dでの動的な干渉確認ができるほか、機材でスキャンした空間情報を取り込むエリアターゲット技術により、作業者が空間に入ると、そのエリア内の適切な場所に表示されるARコンテンツから適切な情報を得られるため、より正確に現場の設備や各部材、配管、配線の配置場所などを把握することができる。
また、BIMデータを活用した建築イメージの共有や改修工事での完成図との照合、計画時点での外観の確認といった進捗管理など、建築の品質を向上しながら設計・施工・維持管理の各工程で業務効率化を実現し、働き方改革の促進につながる。
ConstARの利用料は、作成したコンテンツを200回の閲覧で月額29万8000円〜。最低利用期間は1カ月からでもOK。
NSW 取締役執行役員サービスソリューション事業本部長 竹村大助氏は、「建設業は、他業種と比較して長時間労働の常態化が深刻になっているのが現状。NSWは、建設業における働き方改革について、ConstARを低価格で導入することにより、労働時間の削減、品質の向上、安全性の向上に、PTCとともに取り組んでいく」とコメント。
PTCジャパン 代表取締役 桑原宏昭氏は、「建設業界は2022年度より、労働時間の規制や遠隔臨場の取り組みが本格的に開始され、業務の効率化が一層重要となる見込み。PTCはNSWと協力し、顧客から得られた情報や課題に向き合い、建設業務の改善と新しい働き方の支援ができるサービスの実現にむけて、尽力していきたい」と話す。
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