遠隔臨場ツール「Gリポート」がウェアラブル対応、内蔵と外付けのカメラ切り替えが可能:現場管理
エコモットは、建設現場の遠隔臨場ツール「Gリポート」に外付けカメラのオプションを追加し、ヘルメットにカメラを装着してウェアラブル仕様での利用を可能にした。
エコモットは、中山組と共同開発した「Gリポート」の「外付けカメラオプション」を2022年1月20日から提供を開始した。
外付けカメラ対応でハンズフリーの遠隔臨場が可能に
従来のGリポートは、スマートグラスや胸ポケットに固定するタイプの遠隔臨場システムに比べて、手持ちで自由に撮影できることをウリとしていた。優れた光学性能を持つスマートフォンのメインカメラと、ジンバルの手振れ防止機能を組み合わせ、撮影角度や対象物との距離を好きなように変えられるため、構造物の検査などで導入が進んでいる。
しかし、足元が不安定な災害発生現場や急斜面、高所などでは、フリーハンドで会話や映像配信ができる遠隔臨場ツールを求める声が多かったという。現場の声に応えるため、エコモットは、外付けカメラオプションを北海道を地盤とする総合建設業の中山組とともに開発。外付けカメラにより、従来のGリポートによる検査を主体とした遠隔臨場に加え、手元作業を必要とする作業者への指示、指導、支援、不慣れな作業者の見守りや行動監視などが行えるようになった。
システム構成は、Gリポートのデバイス本体(専用スマホ)と小型USBカメラを接続し、本体はポケットに入れたままで、カメラだけを頭部に固定する仕組み。1台のGリポートで両手が不自由な状態でも、現場とオフィスや事務所をつなぐ遠隔臨場が実現する。
外付けカメラオプションは、スタビライザー(ブレ防止機構)を内蔵した高性能小型カメラを採用し、ヘルメット固定型のウェアラブルカメラとして提供する。IP65の防塵(じん)防水性能(USBプラグは除く)を備え、画角は水平90度、垂直58度で解像度はFullHD(1920x1080)、HD(1280x720)、VGA(640x480)に対応。外付けカメラの起動方法は、USB接続するとスマホ内臓カメラの起動ボタンから、USBカメラ起動ボタンに自動で切り替わる。カメラの重さは約140グラム。
エコモットでは、関東地方整備局が2022年1月に公表した遠隔臨場の試行方針について、前年度のハンズフリー(ウェアラブル)が必須という表現から、「動画撮影は、静止して撮影又は撮影者のヘルメットや胸ポケットに付けるなどの安全に配慮すること」と緩和されている点に着目。ウェラブルは、視野が狭くなるスマートグラスや体を対象物に向けなければならないなどのデメリットがあり、場合によっては撮影対象に近接できる手持ちカメラの方が利便性が高いこともあり得る。そのため、専用スマホ1台でどちらの撮影スタイルにも応じられるGリポートの利点を強調している。
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