【建設サイトReport】清水建設が目指す“デジタルゼネコン”、実現に向けた3つの柱:「建設サイト・シリーズ」ユーザーミーティング2022(2)(2/2 ページ)
清水建設は、建設業界を取り巻くさまざまな問題からデジタル技術で脱するべくリアルとデジタルの双方でものづくりを行う“デジタルゼネコン”のコンセプトを掲げている。
デジタル管理、ロボット、BIM連携から成る「Shimz Smart Site」
まず、ものづくりをデジタルで行うは、「Shimz One BIM」として、ベースとなる設計図をBIMデータ化し、企画・設計から、施工、竣工後の運用段階までのライフサイクルで連携させる。なかでも施工段階では、「Shimz Smart Site(シミズスマートサイト)」と呼ぶ、3つの取り組みに注力。デジタルで管理する“Management”、自律型ロボットと人が協働する“Robot Work”、BIMを核にデータ連携でものづくりを行う“Digital Fabrication”だ。
Managementは現場の多様な情報をデジタル化して、即時に状況を把握し対策しようという試みで、監視基地の「Smart Control Center」と現場に置く分電盤機能を持つデジタルデバイス「Smart Station」、本支店で登録したコンテンツを各地に配信する「デジタルサイネージシステム」などで構成する。
次にRobot Workでは、資材を自動搬送する「Robo-Career」や溶接部位形状を確認して溶接する「Robo-Welder」、天井/床工事用の「Robo-Buddy」、木造床板のビス打ち「Robo Slab-Fastener」といった各種ロボットを順次投入していく。
一方、BIMデータによるものづくりを目標とするDigital Fabricationでは、BIMモデルをベースに、コンクリートの型を作る3Dプリンティングの活用が始まっている。これにより、型枠工事の省人化はもちろん、従来は困難だった自由曲面形状の構成も可能となった。また、構造設計のBIMデータとグループ会社開発の鉄骨専用CAD(KAPシステム)を連携させる「KAP for Revit(K4R)」では、鉄骨数量を正確に把握しながら構造設計することが実現する。
デジタルゼネコンの2つ目の軸「デジタルな空間・サービスの提供」では、自社開発の建物OS「DX-Core」が核となる。建物に関わる多種多様なデータを建物OSへ集約し、入居者や管理者に新たなデジタルサービスを提供していく。さらに、DX-Coreのクラウドを通じ、建物情報を横連携することで、都市のデジタルツインに活用し、スマートシティー実現につなげていく。
3番目の「ものづくりを支えるデジタル」では、デジタル化を支えるプラットフォームを構築。通信・デバイスなどデジタル環境のベースとなるインフラ基盤、多様なデータの蓄積・活用を進めるデータマネジメント基盤、そして日常業務を補うアプリケーション群の業務システム基盤があり、いずれもさらなる充実を図っていく計画だ。
今井氏は講演の最後に、これからの「Shims デジタルゼネコン」の施策のなかで、建設サイト・シリーズに期待することを語った。建設業界に課せられた多くの問題解決には、デジタルの力を利用しつつ、ゼネコンと協力業者の連携が欠かせない。そのためには、各社の与信、IDの付与や管理、作業所での個人情報の管理などのデリケートでありながら、負荷の高い作業が必要となる。
そこで、「建設サイト・シリーズには協力会社とゼネコンを結ぶ“ハブ”の役割を担って欲しい」と今井氏は要望。建設サイト・シリーズにアクセスすれば、全てのゼネコンとつながる“デジタル連携の入口”となってもらい、デジタルゼネコンたる清水建設と全ての協力業者とが、デジタル化の恩恵を共有しつつ、Win-Winの関係を築ければ」と展望を明かし、今井氏は講演を終えた。
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