大成建設が木材を利用した遮音間仕切壁を開発、遮音等級「Rr-55」を達成:防音
大成建設は、CLT(直交集成板)などの木質系材料と石こうボードを組み合わせて、高い遮音性能と意匠性を兼ね備えた間仕切壁「T-WOOD Silent Wall」を開発した。T-WOOD Silent Wallは、適用することで、遮音性能に優れた木質仕上げの建築空間を構築し、木材の利活用促進による脱炭素社会の実現に貢献する。また、今回開発した技術の遮音性能は、日本建築総合試験所で空気音遮断性能試験を実施し、有効性を確認した。
大成建設は、CLT(直交集成板)などの木質系材料と石こうボードを組み合わせて、高い遮音性能と意匠性を兼ね備えた間仕切壁「T-WOOD Silent Wall」を開発したことを2022年5月17日に発表した。
CLTの厚みも60ミリ以上からの設定に対応
共同住宅やホテル客室では、居住者や利用者の快適性を確保するため、間仕切壁に高い遮音性能が求められるが、近年では建築用途の複合化によってオフィスや商業施設などでも同等の遮音性能を必要とするケースが増えている。
一方、2021年には政府により「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物などにおける木材の利用の促進に関する法律」が施行され、CO2削減に向けた建築物への木材利用の促進が推奨されており、とくに大判パネルで製造されるCLTは、木材使用量を増大させる材料として着目されている。
しかし、通常の木材は軽量で密度が小さいため遮音には不向きな材料であることが知られており、これまでCLT単体は間仕切壁として採用されていなかった。
そこで、大成建設は、木質仕上げの空間構築が可能なCLTなどの木質系材料と、これまで遮音間仕切壁で用いられてきた石こうボードを組み合わせることで、遮音性と意匠性に優れ、木材使用量の増大にも役立つ遮音間仕切壁のT-WOOD Silent Wallを開発した。
T-WOOD Silent Wallの間仕切り壁は、「JIS A 1416:2000」に規定される測定方法と性能評価法により試験を実施した結果、高い遮音性能が求められる共同住宅やホテルで多数使用される壁単体の性能と同等の遮音等級「Rr-55」を達成した。さらに、部材の遮音性能と耐火性能は建築基準法に適合しており、非耐力壁として建物の全層で使える。
加えて、住宅居室やホテル客室といった一般的な壁高さの空間に適用する遮音等級Rr−55の「一般仕様」と、吹抜空間の壁高さが高い空間に適用できる遮音等級「Rr-40」〜「Rr-45」の「大空間仕様」を選べる。また、T-WOOD Silent Wallの構造様式では、遮音等級を低下させずにCLTを壁の両面あるいは片面に適用し、CLTの厚みも60ミリ以上からの設定に応じる。
使用する木質材料は、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して内部に炭素として貯蔵するため、建築物での木材利用を介して、環境負荷低減に寄与し、今回の部材では戸境壁510平方メートルあたり二酸化炭素換算値で約0.7トン貯蔵できる。
そのため、例えば、100戸規模の共同住宅で、全ての戸境壁に適用すると、共同住宅1棟で木材使用量は約120立方メートルとなり、約70トンの二酸化炭素貯蔵に対応し、スギ人工林で約2300平方メートルの二酸化炭素貯蔵量に相当する。
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