災害時に病院の機能継続をサポートするシステムの開発に着手、戸田建設ら:産業動向
戸田建設は、バニーホップとともに、病院の機能継続サポートシステム「ききみエール」の開発に着手した。ききみエールは、地震などの自然災害で、病院が事業を継続することが難しい際に、インフラや施設への被害状況、エレベーターの運行制限といった情報を院内スタッフが保有するスマートフォンに共有するもの。今回のシステムは2021年度中の開発完了を目指している。完成後は、新築病院での導入を行い、病院に限らず、BCP対応が重要な教育施設や事務所ビルなど他用途の建物に対しても導入を進めていく予定だ。
戸田建設は、バニーホップとともに、病院の機能継続サポートシステム「ききみエール」の共同開発に着手したことを2021年11月4日に発表した。
発熱者の監視情報を提供でき、新型コロナウイルス感染症の拡大防止にも貢献
国内では、多発する地震や集中豪雨といった自然災害の発生時に、病院では、電力や水道、ガスといったインフラが途絶した場合でも、限られた燃料や資源で機能を継続し人命を保護し救助する必要がある。
こういったニーズを踏まえて、戸田建設は、バニーホップとともに、ききみエールを開発した。ききみエールは、緊急時にインフラの状況を見える化し、病院機能の継続を支援するシステム。
さらに、中央監視設備などからの情報をクラウドデータベースに収集し、地震などの自然災害によるインフラや施設への被害状況、エレベーター運行状況を迅速に院内スタッフが所有するスマートフォンに共有。加えて、スタッフや来院者に必要な情報を発信するため、無用な混乱を防げ、緊急時にインフラの状態が一目で分かる。
また、電力や水道、ガスといったインフラへの被害状況の早期把握や燃料と資源残量を基にした機能の継続時間、制限などをスマートフォンでリアルタイムに確かめられる。患者や来院者に対しても待合呼出モニターなどを利用して、使えるトイレのデータや各種災害状況(公共交通機関運行情報など)を提供する。
一方、平常時には、スタッフに対し、エネルギー使用状況を表示して、省エネ活動の啓蒙を図れる他、発熱者の監視情報を提供でき、新型コロナウイルス感染症の拡大防止にも役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 住友電設がナースコールや内線をスマホで受け取れる病院向けシステムを開発
住友電設は、ナースコールソリューション「スマートフォンゲートウェイ」を活用した病院向けシステムの開発を進めている。 - 被災した病院の医療機能を迅速に復旧するBAS、アズビル
アズビルは、病院などの施設が、地震などの自然災害で被災しても、ビルオートメーションシステム(BAS)を活用し、早急に医療機能を復旧するシステム「自然災害時のBCPソリューション」を開発した。 - 病院業務を効率化する新システム、患者の位置情報やバイタルデータをクラウドに集約
大成建設、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、新城市民病院、NTTドコモ、シスコシステムズは、スマートホスピタル構想の実現に向け、愛知県の新城市民病院でウェアラブル端末やICタグを活用した医療スタッフや患者の各種情報を取得する新システムの実験を開始した。 - 医療関連業界初となる病院内の動線計画を支援するシステム、清水建設
清水建設は、病院内の多様で複雑な物流動線を“見える化”する医療関連業界初となる病院物流動線計画の支援システム「サプライくん」を開発し、実用化に成功した。今後、このシステムを活用して設計提案を行う他、コンサルティング業務として病院内の物流導線計画案を提案し、病院経営の合理化にも貢献していくという。