自律走行ロボで病院業務のDX、大成建設らが名大附属病院で実証:ロボット
大成建設は、ICTを活用した効率的な運用を行う次世代型病院「スマートホスピタル構想」の実現に向け、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、モノプラスの協力を受けて、自律走行型の多目的ロボットを導入した病院運用システムの検証を名大附属病院で進める。病院運用システムが実用化すれば、病院スタッフの業務負担が軽減されるだけでなく、入院患者の容態急変などへの迅速な緊急対応、さらに感染症予防にもつながるという。
大成建設、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、モノプラスは共同で2020年7月、市販の自律走行型多目的ロボット「temi」に、PCやモバイル端末を利用してロボットに指示を与える「BuddyBot」を搭載した新たな病院運用システムの実証研究を開始した。
病院ニーズの把握と病院内の業務効率化を検証
国内では2025年に団塊世代が75歳を超えるため、後期高齢者の急増が見込まれ、医療ニーズは今以上に高まるといわれている。また、少子高齢化も進行し、医療分野でも医師や看護師など病院スタッフの人手不足は深刻な社会問題となっている。さらに、ここ最近は医療現場での感染症拡大に関しても、治療などに対応できる病院スタッフが足りず、早急な対策も急務となっており、感染予防のための新たな技術やシステム開発が求められている。
そこで3者は、医療業務を支援するロボットとして、BuddyBotを搭載した多目的ロボットtemiを病院業務に採用し、様々なニーズに応えられるかを調べながら、病院業務の効率化や省人化などを図ることとなった。temiは、AIによるコミュニケーションやあらかじめ登録した道順の案内や誘導、ビデオ電話機能を搭載した自律走行型の多目的ロボット。名古屋大学医学部附属病院(愛知県名古屋市昭和区)の外来、病棟、集中治療室(ICU)を対象に、2020年8〜10月の期間でロボット活用の有効性を探る。
具体なロボット活用としては、ICUでは、看護師によるtemi呼出と、ICU外にいる医師とのテレビ通話による患者対応といった遠隔コミュニケーションツールとして用いる。加えて、ロボットは通行人及び障害物を回避しつつ病院内を自動巡回し、書類・医薬品などの軽量物を搬送する他、100×100メートルの範囲での人の誘導なども行う。
また、感染症予防としてマスク着用の有無や病棟フロア出入口での来院者の面会カードの所持を確認し、警備や入館制限といった業務も担う。
3者は今回の実証研究で得られた各種データや知見を基に、さらなる病院運用の最適化に向けた取り組みを進めていくとしている。
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