建設業へのコロナの影響を調査、最も深刻な時は減収企業率が84.6%に:COVID-19(2/2 ページ)
東京商工リサーチは、建設会社などを対象に、2020年2月〜2021年3月にわたり新型コロナウイルス感染症の影響について調査した。リサーチの結果によれば、前年の同じ月と比べて売上高が減少した「減収企業率」は、緊急事態宣言下の2020年5月が最も深刻で84.6%の建設会社が減収となり、収益が半減した会社は33.0%に達した。
2021年3月に廃業を検討した建設会社は全体の5%
「“新型コロナウイルス感染症特別貸付”や“セーフティネット貸付・保証”、“民間金融機関の各種融資”、“国の各種給付金”などの支援策は利用したか」と2020年4月のアンケートから対象企業に質問し、支援策の利用率を解析した。支援策を「利用した」と回答した企業は、2020年4月は3.2%(2005社中65社)で、同年5月は8.6%(2617社中227社)となり、1割未満にとどまっていた。
しかし、2020年6月に22.0%(2050社中451社)に上昇し、同年7月に40.2%(1631社中657社)となり、最初の緊急事態宣言が解除された後、支援策の利用企業が急増した。その後も増加をたどり、2021年3月は57.9%(1185社中687社)と約6割に上った。
「コロナ禍の収束が長引いた場合、“廃業(全の事業を閉鎖)”を検討する可能性はあるか」と対象企業に2020年8月のアンケートから聞いたところ、建設業で2020年8月に廃業を検討する可能性が「ある」と回答した会社は全体の6.2%(1316社中82社)だった。同年10月は最も高い6.6%(1319社中87社)を記録した。
2021年1月以降は3カ月連続で減少したが、3月に「ある」と回答した企業は4.9%(1103社中55社)で約5%が廃業を検討。全産業と比べ、建設業の廃業検討率は低いが、社数の多い建設業は地域のサプライチェーンを形成しており、廃業動向は地域経済への影響も大きい。また、建設業の廃業検討は支援策の副作用ともいえる過剰債務が要因になっている可能性もある。
なお、2020年における建設業の「休廃業・解散」は8211社(前年比16.8%増)となった。コロナ関連破たんも増加傾向をたどり2021年3月29日時点で累計104件に達している。新型コロナウイルス感染症の影響長期化で、経営体力を消耗している企業が増えており、建設業者の休廃業や倒産の流れはさらに強まることも危惧される。
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