建設現場での“コロナウイルス”対応法を発表、国交省:産業動向
新型コロナウイルス感染症の影響が建設業界にも広がっている。国土交通省は千葉県や熊本県内の施工現場で、感染者が作業していたことを受け、自治体と業界団体などに向けて新たな対応方法を示し、対策を講じるように要望した。
国土交通省は2020年2月25日、施工中の工事現場で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した作業員に対する対処方法を都道府県と建設業者団体、民間発注者団体に向け通知した。
感染者と接触者は自宅待機
同省は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、これまでも建設業者や団体に適切な対処を促してきた。千葉県内では2月21日、熊本県内では2月24日に工事現場で、新型コロナウイルスに感染している作業者が業務に従事していたことを受けて、今回の発表に至った。
具体的な対応方法については、都道府県と管内の市町村における公共工事では、円滑な施工を確保する観点から、発注した工事現場で状況などを勘案しつつ、アルコール消毒液の設置や不特定人物が触れる箇所を定期清掃することで、感染予防を徹底する。担当職員だけでなく、受注者を通じて、全作業員が健康管理に留意することも推奨された。
また、都道府県などの発注工事で施工を担う作業者などに、新型コロナウイルス感染者がいることが明らかになった場合は、速やかに受注者から発注者に報告し、所要の連絡体制を構築する。都道府県の保健所などの指導に従い、感染者やその人物に接触した疑いがある者の自宅待機をはじめとする適した措置を講じる。
Pick Up記事:
「アナログな業界で“不動産テック”を巻き起こす」、オープンハウスがAI/RPAで2.5万時間を削減
オープンハウスは、他社に先駆け、不動産業務にAIやRPA(Robotics Process Automation)を採り入れ、年間2万5700時間の工数削減に成功している。
オープンハウス 情報システム部 課長 中川帝人氏(シニアデータサイエンティスト)へのインタビューでは、オープンハウス飛躍のヒミツやなぜ住宅メーカーがAI/RPAを活用するのかを探った。
工期の見直しは受注者の責任にならない
新型コロナウイルスに感染した作業者や濃厚接触者などが業務を進められないことに伴い、受注者から工期の見直しなどの申し出があった際には、必要に応じ、工期の再設定やこれにより求められる請負代金の変更など、適正な処置をする。このケースでは、特段の事業が無い限り、受注者の責によらない事由として取り扱われるとした。
公共工事標準請負契約約款第20条第1項には、「天災などにより工事目的物などに損害が生じ、または工事現場の状態が変動したため、請負者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は受注者に工事の一時中止を命じなければならない」と記載されている。この項目に基づき、感染者の発生で、施工を継続することが困難と確認された場合には、発注者は、的確に工事の一時中止を指示する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パナソニックが吹田市に“再エネ100タウン”、ALSOKや竹中工務店ら14社と超高齢社会の課題解決
パナソニックは、吹田市の同社工場跡地を活用して、スマートタウン「Suita SST(サスティナブル・スマートタウン)」を2022年に開業する。街のコンセプトには、日本の超高齢社会が抱える3つの課題を解消する「多世代居住」「健康」「地域共生」のキーワードを据え、これらを実現するパートナー企業14社の新たなサービスを実証する。例えば関西電力とは、消費電力を再エネ100%で賄う「再エネ100タウン」、ALSOKとは画像検知やロボティクスによるセキュリティ、竹中工務店とは住めば健康になれる街を実現する建築デザインコードの開発などに取り組む。 - 健康促進と生産性向上に向け「ウェルネスサポートシステム」の開発に着手
大成建設ら3社は、オフィスで働く従業員のバイタルデータをリアルタイムで計測・分析する「ウェルネスサポートシステム」の開発に着手した。 - 3次元起工測量の効率を高める“ICT現場踏査・照査”活用事例
ドローンによる起工測量などを展開するFCコネクトは、3次元起工測量の前に行う現場踏査や照査などでICTを活用し、測量業務の効率化を進めている。 - 大林組の作業員向け安全管理システムが刷新、スマホレスで手軽に体調管理
大林組は、建設作業員向け体調管理システム「Envital」の機能を見直し、スマホレスとなり、作業員はリストバンドを着けるだけで、体調管理ができるようになった。