複層ガラスと比べて4.8倍の断熱性能とガラス面積の拡大を実現したLIXILの「樹脂窓」:製品動向
LIXILは、優れた樹脂の設計と押出技術、先進的なリイクル技術を持つ独プロファインと共同で、一般複層ガラスと比較して約4.8倍の断熱性能を備え、フレームをスリム化し、従来品よりもガラスの面積を拡大した樹脂窓「EW」を開発した。
LIXILは、優れた樹脂の設計と押出技術、先進的なリイクル技術を持つ独プロファインと共同開発した樹脂窓「EW」を国内の北関東以南(福島県含む)で2021年8月1日に発売した。
戸建て向け窓の割合で高性能窓の比率を2026年3月期までに100%に
環境配慮に関する目標として、LIXILは、2050年までに事業プロセスと製品サービスによるCO2の排出を実質ゼロにするビジョン「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げている。目標の実現に向け、住宅建材事業を展開する同社のハウジングテクノロジー事業では、「住宅全体の高性能化」と「資源の循環利用」に関連する取り組みを推進している。
一例を挙げると、戸建て市場向けに販売する窓の割合で、高性能窓の比率を2026年3月期までに100%とするため、第1弾製品で、国内最高水準の断熱性能を持つアルミ窓「サーモス A」を東日本地区で2021年7月に発売。2022年3月期に全ての窓シリーズ(アルミ窓、樹脂窓、ハイブリッド窓)を刷新し、高性能化する予定だ。
サーモス Aに続く、第2弾製品が樹脂窓のEW。EWは、樹脂フレームの空間を分けることで熱の伝わりを抑制する「多層ホロー構造」やトリプルガラスなどの「高性能ガラス」を採用した他、プロファインの優れた形材押出技術でフレームのスリム化を達成することで、従来品よりもガラスの面積を拡大した。
フレームには、アルミに比べ熱伝導率が約1000分の1の樹脂を採用し、熱を伝えにくくする空気層をフレームに設けることで、フレームから熱が出入りすることを抑制している。
搭載されたトリプルガラスは、3枚のガラスと2重の空気層で構成され、優れた断熱効果を発揮する。さらに、特殊金属膜「Low-E膜」や高性能ガラスの技術を活用することで、一般複層ガラスと比較して約4.8倍の断熱性能を備える。
EWの種類は、木調色のフレームで内観色がチェリー色もしくはオーク色の「EW for Design」と、フレームや内観色がピュアホワイト色の「EW」を用意している。外観色は、ブラック、オータムブラウン、シャイングレー、ピュアホワイトの4色から選べる。
EWのタイプには、引違い窓、FIX窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、大開口横すべり出し窓をラインアップした。
また、樹脂フレームのリサイクル材使用率を従来品よりも約3倍に増やして、接着剤を使用しない「押縁仕様」を採用することで、樹脂フレームとガラスの分離回収を容易とし、ラッピング材には樹脂形材と同時に再生利用ができる樹脂材を用いている。
参考価格は、「EW for Design 単体引違い窓(トリプルガラス)」が27万2900円で、「EW 単体引違い窓(トリプルガラス)」は18万7600円(いずれも幅1690×高さ2070ミリで、アングル無し、アルゴンガス入り、外観色ピュアホワイトの場合で、網戸代、消費税、取付工事、搬入費用は別)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 窓がなくても太陽光を取り込める光ダクト、100mmに薄型化
大成建設と東洋鋼鈑は薄型の水平光ダクトシステムを開発した。建物内部に太陽光を効率的に誘導できるシステムで、高さ100mmと従来より大幅に薄型化を図った。これにより、建物の階高を高くすることなく、窓のない廊下や自然光の入らない居室に太陽光を導くことができるという。 - IoT×建具で窓・ドアのカギの「締め忘れ」をスマホに通知、YKK APが発売前に披露
YKK APは「第3回 高性能 建材・住設 EXPO」に出展し、開発中のIoT技術を活用したドアや窓の締め忘れを防ぐシステム「ミモット」を2018年度内の発売に先駆け展示した。 - 光熱費には「窓」が効く、3層ガラスとクリプトン
LIXILは2015年1月、3層ガラスと樹脂フレームを組み合わせた窓「エルスターX」を発売する。断熱性能(熱貫入率)では国内最高の性能だと主張する。窓は熱の出入り口になりやすいため、光熱費軽減に大きく寄与しそうだ。2015年3月には特別な窓にも対応できるハイブリッドフレームの「サーモスX」も投入する。 - 換気と高断熱を両立、意匠性にも貢献する三協アルミの「DI窓」
三協アルミの「DI窓」は、従来の換気口に頼らず住宅の換気を実現する製品。窓としての高い断熱性能を備え、従来型の換気口に存在した意匠面での課題も解決する。 - 風速に応じて自動で窓の開き具合が変化、三協立山が中高層ビル向けの「省エネサッシ」を発売
三協立山・三協アルミ社は、中高層ビルを対象に、風の強さに応じて窓の開閉角度が変わる「風力すべり出し窓」を発売した。 - トヨタが導入した高性能後付け窓ユニット「Tropos」、室内に入る熱を47%削減
デバイスは、施設のエネルギー効率を高められるとともに、既設の窓に後付けで装着可能な窓ユニット「Tropos」を拡販している。