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光熱費には「窓」が効く、3層ガラスとクリプトン省エネ機器(1/2 ページ)

LIXILは2015年1月、3層ガラスと樹脂フレームを組み合わせた窓「エルスターX」を発売する。断熱性能(熱貫入率)では国内最高の性能だと主張する。窓は熱の出入り口になりやすいため、光熱費軽減に大きく寄与しそうだ。2015年3月には特別な窓にも対応できるハイブリッドフレームの「サーモスX」も投入する。

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 住宅設備大手のLIXILは、住宅用の樹脂フレーム窓「エルスターX」を発表、2015年1月から発売する(図1)。世界トップクラス、国内最高の断熱性能(熱貫入率)をうたう。

 光熱費を節約するため、さらには電力と熱を自給自足する住宅(ネットゼロエネルギーハウス、ZEH、関連記事)を実現するには、冷暖房の熱をなるべく逃がさない仕組みが必要だ。政府は2030年までに新築住宅の平均で、ZEHを実現しようとしており、熱を通しにくい窓が役立つ*1)

*1) 東京都都市整備局が2009年4月に公表した「住宅の省エネリフォームガイドブック」によれば、冬の暖房時は熱の58%が窓などの開口部から逃げ、夏の冷房時は熱の73%が入ると指摘。省エネを実現するリフォームを進めるなら、まず開口部となる窓ガラスやサッシ、ドアの断熱性、気密性を高めるべきだとした。


図1 エルスターXを用いた施工例。さまざまな寸法の窓を構成できる 出典:LIXIL

ガラスとフレームの両方に改善が必要

 熱を通しにくい窓を開発するには、ガラス面とフレーム(サッシ)の両方の断熱性能を高めなければならない。2007年版環境/循環白書は日本建材・住宅設備産業協会の調査結果を引いて、それぞれの効果を示している(図2)。

 アルミフレームに1枚のガラスをはめ込んだ単純な窓から熱が逃げる量(熱貫流率の相対値)を100とすると、ガラスを複層に変えた場合は71.4となり、熱が逃げにくい。さらにアルミフレームをアルミ樹脂複合フレームに変えると53.5に下がる。最も性能が高い組み合わせの1つは高断熱複層ガラスと樹脂フレームだ。LIXILによれば、関東以西ではアルミフレームが主流だが、北海道では樹脂フレームが90%を超えているという。


図2 ガラスとフレームを変えたときの断熱性能の変化 出典:環境省

Low-Eガラスをさらに改善

 高い断熱性能を持つガラスとして、一般に中空層を挟む2枚のガラスを用いた「Low-E」(低放射)複層ガラスが多く使われている。ガラスの表面に薄膜を形成し、断熱性能や遮熱性能を高める仕組みだ*2)。中空層には熱を伝えにくい乾燥空気を封入する。乾燥空気の代わりにアルゴン(Ar)*3)を用いるとさらに熱伝導を抑えることができる。

*2) ガラス製造時に表面へ1万分の1mm程度の厚さの膜を作り上げる。酸化スズの薄膜や、酸化亜鉛と銀の多層薄膜を作ることが多い。
*3) アルゴンは大気中に約0.9%含まれるガス。エルスターXが採用したクリプトン(Kr)もガスであり、大気中に約0.0001%(1ppm)含まれる。アルゴンやクリプトンは希ガス(不活性ガス)であり、他の物質と極めて反応しにくく、安定で無害だ。

 エルスターXの最上位製品では、3層ガラス構成を採る。2枚のLow-Eガラスの他、その間にもう1枚のガラスを置いた。封入ガスとして性能の高いクリプトンを用いる。大気の主成分である(乾燥)窒素の熱伝導率(0度)は0.024W/(m2・K)。アルゴンは窒素の57%しか熱を伝えない。クリンプトンは窒素の36%とさらに優れる。フレーム部分には熱を伝えにくい樹脂だけを用い、樹脂の構造も工夫した。その結果、製品全体として0.79W/(m2・K)という低い熱貫入率を実現できたという。

 エルスターXの最上位製品の構造を図3に示す。左上には3枚のガラスがあり、ガラスの間にはクリプトンガス(赤の丸)が封入されている。フレーム部分は全て樹脂でできており、中空層(ホロー)を多層に持たせることで断熱性能を高めている。


図3 エルスターX(最上位製品)の断面構造 出典:LIXIL

 エルスターXには構造(素材)が異なる3種類がある。いずれも樹脂フレームを用いており、異なるのはガラスとガスの組み合わせだ。封入するガスをアルゴン(黄色の丸)に変え、コストを抑えた製品を図4の左に示した。フレームの構造はクリプトンのものと変わらない。さらにLow-Eガラスを1枚に抑えた複層ガラス構成の製品もある(図4の右)。


図4 エルスターXのその他の製品の断面構造 出典:LIXIL

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