現場の安全教育をスマホでどこでも学べる新アプリ、鹿島建設:製品動向
鹿島建設は、技能労働者が自身のスマートフォンで手軽に現場の安全教育を履修できるアプリ「みんなで学ぼう建設安全!どこでも安全アプリ」を開発した。同社は、2021年4月に、全国の土木工事現場で、みんなで学ぼう建設安全!どこでも安全アプリの運用をスタートした。今後は、新アプリによる労働者の履修状況や理解度を分析した上で、職種別に重点教育項目の整理や教育方法の改善に反映する。
鹿島建設は、建設現場における労働災害の撲滅を目的とした技能労働者向けの安全教育システム「みんなで学ぼう建設安全!どこでも安全アプリ」を開発したことを2021年7月13日に発表した。
競争意識を刺激するランキング機能付き
同社は現在、「決心せよ!今日一日の無災害」のスローガンを掲げ、安全を最優先に現場運営を行っている。こうした中で、労働災害と事故の撲滅に向けて建設現場での安全教育を積極的に実施しているが、従来の安全教育は紙媒体が中心で、教育に要する時間がかかる他、管理者側の準備や採点、集計作業の効率化などで問題があった。
上記の課題を解消するために、鹿島建設はみんなで学ぼう建設安全!どこでも安全アプリを開発した。みんなで学ぼう建設安全!どこでも安全アプリは、技能労働者がスマートフォンから手軽に、安全に作業するための知識を学習できる。具体的には、スマートフォンでQRコードを読み取りアクセスし、安全に関する問題を選択式で解答する。問題は全現場共通の基礎的な100問で構成される。利用シーンは、就業時間内で、Wi-Fi環境がある現場の会議室や休憩所などが想定されている。
新アプリの特徴は、見やすく操作しやすい画面で、スムーズな教育の履修を後押しし、競争意識を刺激するランキング機能付きで、不正解の場合は、正解するまで同じ問題が表示され、現場が変わった際は、前現場の教育履修実績を引き継げる点。
また、管理者は、専用サイトで、技能労働者の履修状況や理解度をPCから簡単に確かめられ、各現場の履修結果はクラウド上に保存されるため、結果を勘案して設問の見直しなどを行える。
鹿島建設では、2021年2月に同社の11現場を対象に、新アプリの試験運用を実施し、教育履修時の直感的な操作性と教育で求められる時間の軽減を確認した。
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