現場で“EC決済”や“安全教育”が可能なDSシステム、入退場管理デバイスとして「建設キャリアアップシステム」と連携:デジタルサイネージ
飛島建設グループおよびWill Smartの2社で開発したデジタルサイネージシステム「e-Stand」は、機能拡充を目的に、MCデータプラスとパートナープログラム契約を締結し、現場への入退場管理システム「グリーンサイト」のデバイスとして利用可能となった。既に一部の現場で試験的に運用が始まっており、導入現場を拡大していくという。
飛島建設グループとWill Smartの2社で開発した建設現場向けの「働き方改革システム×ECビジネス」のプラットフォーム「e-Stand」は、これまで現場にデジタルサイネージ(DS)を設置することで、安全教育の動画放映、建材や道具のEC(電子商取引)決済といった機能で現場の利便性に貢献してきた。
今回は、さらなる機能拡充として、MCデータプラスとの提携により、現場や作業所の入退場管理システム「グリーンサイト」のデバイス(端末)として利用することができるようになった。今後さらに、グリーンサイトが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の「就業履歴データ連携認定システム」として認定されることで、CCUSの就業履歴情報として連携可能となる予定だ。
グリーンサイト発行のQRコードで現場への入退場を管理
CCUSは、国が進める建設技能者の資格、社会保険の加入状況、現場の就業履歴などを業界で横断的に登録・蓄積する仕組み。このシステムの活用によって、技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、将来にわたって建設業の担い手を確保することを見込む。
実際にCCUSを建設現場に導入すると、現場管理の作業効率が見込まれ、作業スタッフの就労有無を記録することで、処遇の改善にもつながる。既存のプラットフォームe-Standを建設現場に設置し、グリーンサイトと連携することで、就労有無のみならず入退場時間の登録や蓄積も可能となる。入退場管理は、CCUSの事業者IDや技能者IDをグリーンサイトに登録したうえで、グリーンサイトから発行されるQRコードをスマートフォンに表示または紙に印刷して、e-Standのリーダーにかざすことで、入退場者の管理が行えるようになる。
グリーンサイトは、MCデータプラスが提供している労務・安全衛生に関する管理書類(通称:グリーンファイル)をクラウド上で、簡単に作成から、確認、提出まで可能なサービス。社会保険の加入状況も、簡単に把握することができ、現場のセキュリティレベルに応じた入退場管理が行える。協力会社は、安全書類の作成時間を大幅に短縮することができ、わざわざ現場に届ける手間が省け、元請会社の現場/作業所/工事事務所の担当者は、書類の確認や管理業務を省力化することにつながる。2018年10月末時点で、既に1万6000の現場で稼働しているという。
現在は、次の段階として、人の目による“虹彩”認証システムの開発も進められており、「なりすまし防止にも対応し、利便性や効率化だけでなくセキュリティ面の強化も進める」という。
プラットフォームのe-Standも、バージョンアップし、機能を拡張している。建設現場の共創プラットフォームを目指し、入退場の管理以外にも、安全教育サービスやECサービスを備える。安全教育サービスは、飛島建設グループと日建リース工業が取り組み、各建設現場にあった新規入場者を対象とした教育動画の作成、安全教育動画の提供をしており、教育業務の準備や実務の効率化を実現する。
ECサービスは、従来の個人向けだけでなく、2019年4月からは企業向けにも展開を広げていき、請求書での支払いにも応じる。これまで現場監督が、電話で材料や道具の発注を行っていたのをスマートフォン上で発注することが実現し、発注業務の時間削減が見込める。
e-Standの建設現場への展開は、日建リース工業とパートナーシップを締結しており、飛島建設グループの建設現場に設置するだけでなく、他社の現場での運用も始まっている。2018年度の目標で、20現場の導入を目標とし、多くの建設現場で活用してもらうように展開を拡大している。
今後は、作業スタッフの給料計算や賃金管理の仕組み、ECサービスでの建設資材の取り扱いも目指し、e-Standのサービスおよび機能の拡充を継続的に行い、建設現場の生産性向上を担う共創プラットフォーム構築を目指す。
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