VRで除染土のう輸送の“事故”体験、奥村組が安全教育に活用:現場管理
奥村組は除染土のうの運搬する運転手の教育向けに、VRを活用したシステムを開発。未経験ルートの運行や、実体験が許されない重大事故などを体験学習できるという。
奥村組は2017年1月、除染土のうを中間貯蔵施設へ高効率に輸送するために開発した輸送統合管理システムに、VR(バーチャルリアリティ)技術を活用した運転手教育機能と事例データベース活用機能を新たに追加し、試験運用を開始したと発表した。
同社は2015年に除染土のうの運搬作業の効率化を目的としたシステム「インフォクロス」を開発。これは除染土のう、運搬車両、作業者などの位置や数、放射線量といった各種情報をリアルタイムに取得・集約して情報の一元化を図り、輸送に関する日常管理業務の効率化や、交通状況を加味した最適な輸送順序と運行ルートの選定などが行えるシステム。
今回このシステムに新たに追加したVR技術を活用する運転手教育機能は、インフォクロスに取り込んだ運行ルート周辺の映像情報と教育カリキュラムをベースに、運転手が仮想現実の中で、未経験ルートの運行や実体験が許されない重大事故などを体験学習できるというもの。運転手個々の学習効果や特性を把握・分析し、教育カリキュラムに反映させることも可能だという。
もう1つの事例データベース活用機能は、過去のトラブル対応事例や、環境省のWebサイトで公表されている中間貯蔵事業に関する車両運行上のトラブル対応事例をデータベース化し、天候や運行ルート、渋滞などの情報と連携できるようにしたもの。これにより輸送の安全管理に必要となる情報を自動的に抽出できる他、抽出した情報を、管理者や各運転手および作業員などに適切なタイミングで提示し、車両運行に関するトラブルの未然防止効果が期待できるとしている。
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