建築業の実写VR安全研修を共同開発、ジョリーグッドとメッド:VR
ジョリーグッドとメッドコミュニケーションズは、建築現場における安全教育を実写VRで行える「建設業向けVR安全研修ソリューション」を開発した。作業現場の危険箇所や不安全行動に対する作業員の意識を醸成し、事故防止へつなげるコンテンツとして、元請け企業などに向けて販売していく。
VRソリューションを手掛けるジョリーグッドは2019年12月10日、リフォーム・施工事業のメッドコミュニケーションズと共同で、建築現場における高所作業などの安全教育を実写VRで行う「建設業向けVR安全研修ソリューション」を開発したと発表した。
建設業災害防止協力会が監修した本ソリューションは、高所作業や外装・内装作業の作業風景をVRで再現し、危険箇所や不安全行動を探し出すVRコンテンツ。VRゴーグル1台、講師用タブレット1台を含む販売価格は88万円から。
本ソリューションのコンテンツは危険箇所を探し出す体験コンテンツと解説編コンテンツがセットになっている。体験者がVRゴーグルを装着すると、日常の作業風景を再現したVR映像が映し出されるので、体験者が危険を感じるスポットを2秒以上注視。コンテンツの最後に、注視した箇所が危険箇所であったかが総合採点され、自身の危険予知スキルをスコアとして表示する仕組みだ。その後解説編コンテンツを体験し、危険予知に関する理解を深める。
建築現場の安全研修は、講義や2D映像だけでは臨場感が不足する。VRで作業風景を再現し、体験者自身が危険箇所を探すことで、さながら現場にいるような感覚の中で安全研修を行うことができる。メッドコミュニケーションズが実施した本ソリューションの体験会でも、「VR体験によって慣れ、油断、慢心など危険への意識が変わったか」との問いに対し、77%の体験者が「変わった」と回答した。
建設業の労災事故で最も多いのが「墜落・転落」で、これに「はさまれ・巻き込まれ」や「転倒」などが続く。いずれも作業員の慣れや慢心が原因とみられ、墜落制止用器具の使用義務化や通常の安全研修だけでは問題解決に不十分とされてきた。
本ソリューションは持ち運び可能であるため、安全大会などに来られない現場作業員向けの教育ツールとしても活用できる。今後は外国人労働者の安全教育にも活用できるよう、多言語機能を搭載し、海外の送り出し機関や国内の外国人材受け入れ企業にも提供していく予定。
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