東急建設が概算修繕計画システムの機能を改良、ホテルと工場に対応可能に:産業動向
東急建設は、2018年度に開発した社内ツール「概算修繕計画システム」の機能・精度を改良した。今回の機能アップにより、データベースに追加や変更が行えるようになり、将来的には、選べる用途をさらに増やしたり、特定の建物に適応させたりすることが可能になった。
東急建設は、2018年度に開発した社内ツール「概算修繕計画システム」の機能・精度を向上させ、従来品より適用できる建物が増えたことを2021年6月2日に発表した。
特定の建物に適応可能に
修繕計画とは、竣工後の建物で将来発生する修繕工事の費用を年度ごとにプランニングしたもので、修繕積立金や事業計画の収支を検討する時に求められる。修繕計画の作成を効率化するために、東急建設は、延べ床面積と建物用途を入力するだけで修繕計画を作れる「概算修繕計画システム」を開発し、運用している。
概算修繕計画システムは、延べ床面積と建物用途を選択するだけで、自動的に修繕計画が作成され、PDFファイルで出力する。作業手順は、まず、システムの入力画面に顧客情報と延べ床面積を入力し建物用途を選び、坪単価と概算工事金額を設定。
次に、システム上の計画書作成ボタンをクリックすると、概算修繕計画が自動で生成される。この概算修繕計画では、東急建設内の見積データベースなどを参照して概算工事金額から比率換算し、新築時から30年後まで各年の概算コストが計算される。また、建築物と設備の合計金額だけではなく、大分類した項目により各年で示したコスト表も構築するため、さまざまな設備や部材の修繕でどれほどコストがかかるかを詳細に見える化する。
しかし、従来の概算修繕計画システムは、公的データベースを参照しているため、選べる用途はマンション、事務所、学校の3つだった。そのため、顧客から「選択できる用途を増やしてほしい」という要望が多くあり、東急建設は、オリジナルのデータベースを作成し、概算修繕計画システムで、選べる用途をマンション、事務所、ホテル、工場に変更した。今回の機能アップにより、データベースに追加や変更が行えるようになり、将来的には、選べる用途をさらに増やしたり、特定の建物に適応させたりすることが可能になった。
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