設備修繕の働き方改革を支援する日立のクラウドサービス:Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE(1/2 ページ)
設備機器の修繕計画は、設備自体の維持や故障リスクを最小化するために必須となる。しかし、現状では熟練者が紙上で計画を立案しており、無駄や限界となる部分が多い。いわゆる属人化の状態にあり、引き継ぎや監査などの面でも課題となってしまっている。日立ソリューションズが提供する「設備修繕計画最適化サービス」は、設備機器の関連情報を電子化し、管理を標準化することで誰にでも均一化して使えるようにするものだ。
日立ソリューションズは、オンラインイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」(会期:2020年11月4〜6日)で、設備修繕計画を最適化するサービスを紹介する講演を行った。
同サービスは、日立ソリューションズ 社会イノベーションシステム事業部 スマート社会ソリューション本部 アーバンソリューション部の河合章悟氏が開発した。セッションでは、開発者の河合氏自らが登壇し、サービス概要と導入するメリットを説明した。
現在の建設業界では、さまざまな箇所にITが導入され、費用と時間の両面で効率的な運用管理が可能となっている。しかし、ビルや工場などの修繕計画では、現在も熟練の管理者が紙上で計画を管理している現実がある。
本講演で紹介するサービスは、属人化している修繕計画の立案と管理をIT化し、誰にでも行えるようにするものだ。このサービスの利用によって、設備の稼働状況に合わせ最適なタイミングで修繕や更新が可能になる。
設備修繕業務の働き方改革を支援する
本サービスは、日立ソリューションズ社会イノベーションシステム事業部の河合章悟氏が開発したものだ。河合氏は2002年日立ソフトウェアエンジニアリング(現・日立ソリューションズ)に入社し、Windowsアプリケーションや携帯電話ソフトウェア開発に従事した後、情報セキュリティ関連やAWS/Azureなどクラウド領域での深い知見を生かしつつ、ファシリティマネジメント分野に注力している。セッションでは、開発者の河合氏自らが登壇し、サービスの概要と導入メリットも含めたユースケースを説明した。
ビルや工場などでは、運用開始後の修繕計画は避けては通れない。適切な時期に適切な内容の修繕や改修が実施されれば、その建築物を良い状態で快適に使い続けられる。しかし、修繕計画が建物の原状と乖離(かいり)してしまえば、場合によっては施設の寿命を損なうことにもなる。
このように非常に重要な役割を担う修繕計画だが、ITが普及した現在でも、いまだに熟練者が紙の資料や煩雑なExcelファイルをベースに、手書きや手入力で計画を策定・管理している。
紙の上で策定・管理される計画は、状況に応じた見直しが難しく効率も悪い。また、修繕周期を無理に延長することで発生する故障リスクや、稼働が少ない施設の修繕コストをカットしにくいという問題がある。さらに、計画の策定が特定の担当者だけで行われているため、計画に対する監視が困難で適切かどうかが正しく判定されていないことが多々ある。
河合氏が開発した設備修繕計画最適化サービスは、こうした問題点の改善と是正に役立つ。
修繕計画に関する情報を電子化、作業を標準化して管理の効率化を実現
サービスは、修繕計画に関する情報を電子化し、計画をまとめる作業を標準化する。これによって、特定の熟練者だけではなく、誰にでも修繕計画の管理が行えるようになる。そして、これは政府が推し進める働き方改革にもリンクする。
紙主体での修繕情報の管理には、先に触れたように問題が多かった。河合氏が開発したサービスでは、修繕計画に関連した情報を電子化することで、これらを解消する。
設備修繕計画最適化サービスを使うと、修繕計画がシステム化でき、修繕計画の最適化が促進される。また、設備の稼働状況に基づいた修繕周期の提案も可能となる。これを利用すると、無駄な修繕作業が無くなり、コスト削減が見込める。
一般的に、設備の稼働実績はメーカーが推奨する機器・パーツなどの交換周期に大きく影響する。稼働時間が長い設備で単純に交換時期を伸ばせば、それだけ故障のリスクは高まる。しかし、サービスでは、Web上で稼働状況を入力・管理すれば、故障リスクを最小にした上で、消耗パーツなどの最適な交換時期が示される。
このような修繕計画のシステム化は、属人化を排除して修繕管理の見える化がもたらされ、設備や機器の管理効率アップが実現する。さらに、将来は調達ツールとして無駄な調達費用を抑制する機能も搭載される予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.