東急が既築マンションを3Dに、修繕管理や積算業務を効率化:FM
東急コミュニティーはマンションなどを撮影したカメラ映像から3Dモデル作成し、建物の基本情報や修繕履歴などを管理できるシステムを開発した。適切な修繕手順を策定しやすくなる他、建物のライフサイクルを長期的な視点で管理できるようになる。また、工事積算業務の工数を、3Dモデル化以降は約5割削減できるなど、業務効率化のメリットもあるという。
総合不動産管の東急コミュニティー(東京都世田谷区)は、デジタルカメラで撮影した映像から作成した建物の3Dモデルを活用し、建物の基本情報や修繕履歴などを管理できるシステム「TC3ARD(ティーシーサード)」を開発したと発表した。ソフトウェア開発会社のサイトセンシング(東京都千代田区)と共同開発した。
マンションなどの外観を動画撮影し、その2次元画像を繋ぎ合わせて、3Dモデルデータに加工する。例えば60戸規模のマンションであれば、約2時間程度で撮影した動画を、約7日で3Dモデル化できるという。また、各部位ごとの面積や使用している部材を3Dモデルに入力することで、建物の大規模改修工事や長期修繕計画の各部位の数量積算を簡単に実施することが可能だ。
東急コミュニティーでは受託管理するマンションの約30%が築30年以上経過している。老朽化したマンションでは過去の修繕履歴などの情報が重要となるが、図面や修繕履歴が整理保管されておらず、いつどこを工事したのかを正確に把握できないケースも多い。こうした基本データが整備されていなくてもTC3ARDを活用することで、建物のライフサイクルを長期的な視点で管理することが可能だ。また、管理組合の財政状況に合わせて緊急度の高い箇所から段階的に改修を実施すマンションも増える中で、工事履歴を時系列で管理することにもつながる。
大規模改修時の居住者説明会の際には、会議室にいながらウォークスルー機能を使って、建物内の移動や工事個所の確認や、工程に合わせた足場設置状況のシミュレーションすることが可能だ。また、工事内容及び工程についてビジュアル確認することで居住者の理解促進が図れる。
改修工事を実施する東急コミュニティーにとっても、システムを活用した精度の高い情報管理が行えることで、部分的、段階的に改修する場合でも工事の都度実施していた工事積算業務の工数を2回目以降は5割程度削減できるなど業務効率化のメリットがある。
同社では大規模改修工事や長期修繕計画の作成・改定の際に、管理組合向けに同システムの活用を含めた提案を行う方針だ。
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