2022年度に商用化を目指す「水空合体ドローン」、着水後に水中探査の子機が分離:Japan Drone2021(3/3 ページ)
「Japan Drone2021」でプロドローンは、世界初を謳う「水空合体ドローン」をはじめ、トンネル天井面検査や物資輸送や農薬散布、警備といった幅広い用途に対応した多様な機体のラインアップを披露した。水空合体ドローンは、現場まで自立飛行する親機と、水面に着水後に分離して水中を探査する子機から成り、飛行から、着水、分離、潜航、浮上、回収、帰還までを遠隔で制御できる。
水中点検、物資輸送、インフラ点検の各用途に応じた4機種
他の4機体についても簡単に触れると、「PD4-AW-AQ」は水面に離着陸が可能な防水型ドローンで、ダム点検や漁場管理、サンゴ礁の生育観察といった業務で活用されている。4つのプロペラの下にフロートを装着しているため、着水後も水没せず、バランスを保ったまま水面に浮く。
機体から送られてくる水中映像は、伝送装置を通して手元のモニターへ送られるため、水中の状況をリアルタイムで確認可能だ。
また、「PDH-GS120」は、国産の小型軽量エンジン(2ストローク水平対向2気筒120ccエンジン)を搭載したシングルローター型ドローン。10キロのペイロードで2時間の長時間フライトという特長を生かし、物資輸送、広域監視任務、農薬散布などでの利用が想定されている。機体にはタスクに合わせて、物流ボックス、ズームジンバルカメラ、2眼ジンバルカメラ(ズームカメラ+赤外線カメラ)、レーザー測量装置など、多様な機器を取り付けられる。
インフラ点検、消防、定点観察、警備向けの小型クワッドコプター型ドローン「PD4-XA1」は、機体前面に、防振性能を備えたジンバル上にズームレンズを標準装備。ズームレンズは、2眼ジンバルカメラ(ズームカメラ+赤外線カメラ)以外にも、LED、ブザーなどにも付け替えられる。重さは9.4キロ(カメラ搭載時、バッテリー2本含む)、機体を折り畳むと横幅は30センチ以下になり、持ち運びも容易だ。
マルチコプター型ドローン「PD6B-type3C」は、最大ペイロード30キロを誇る大型機。レーザー測量機や超高精細カメラを積んでも、安定した飛行姿勢で正確なデータを取得する。2019年10月に、愛知県南知多町で離島への医療物資配送の実証実験を行うなど、物資輸送機として、多くの企業での運用実績がある。
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