ヤマハが考えるドローンのいま、次世代、そして進化形、ガソリンとEVのハイブリッドを提案:Japan Drone2021(1/2 ページ)
「Japan Drone2021」でヤマハは2機のドローンと、1台のエンジン(モックアップ)を展示した。農業用マルチローターでは農薬用途での自動空中散布の実績を紹介し、産業用無人ヘリコプターとしては資材運搬や森林調査などでの可能性を示した。また、ガソリンと電池をハイブリッドした電源供給ユニットのコンセプトを打ち出し、ヤマハが考えるドローンの進化形を明らかにした。
30年以上にわたり、産業用無人ヘリを提供してきたヤマハ発動機(以下、ヤマハ)。建設分野のドローンが集結する国際展「Japan Drone2021|第6回−Expo for Commercial UAS Market −」(会期:2021年6月14〜16日、幕張メッセ)で、「圧倒的な空中散布事業の実績」「次世代無人航空機の可能性」「さらなる無人航空機の進化」の3つのコーナーに分け、ヤマハを代表するドローンを展示した。
自動機能で空中散布をさらに効率化
「圧倒的な空中散布事業の実績」のコーナーに展示されていたのは、農業用マルチローター「YMR-08AP」。YMR-08APは、先行販売されているYMR-08にオートパイロット機能(自動散布機能)を搭載し、さらに進化させた機体。発売は2020年3月だが、来場者の関心は依然として高いようで、ブース担当者へ熱心に質問を投げかける姿が多く見られた。
YMR-08APのオートパイロット飛行を可能にしているのは、高精度測位手法「RTK(real time kinematic)」と、農薬散布専用アプリケーション「agFMS(agriculture light management system)」の2つの技術。
操作方法は至って簡単で、オペレーターが飛行前に測定モジュールを使って農薬を散布する農場を歩いて計測(圃場計測)する。測定データをagFMSに取り込むと、適切な散布ルートが自動で生成される。後は、飛行開始地点まで手動でドローンを飛ばせば、自動飛行に切り替わりルートに沿って散布が始まる流れだ。
徒歩による圃場計測のため、樹木などの障害物があったり、不整形な農場であったりしても対応できる。RTK制御により誤差数センチの範囲で機体の位置を把握して制御するため、高精度な農薬散布が可能だ。
農薬散布ノズルの幅は、旧来機のYMR-08より広がり散布幅は5メートル、散布速度は毎時20キロ。1度の飛行可能時間は約11分で、およそ1ヘクタールの農地をカバーする。万が一、途中で農薬が切れても、その位置をRTKで正確に掴(つか)んでいるので、農薬補給後にその位置に戻って再散布を始めるレジューム機能を備えている。
多彩な利用が可能な大型無人ヘリコプター
「次世代無人航空機の可能性」のコーナーには、産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」を出品。FAZER R G2は、排気量390ccのガソリンエンジンを動力源にして飛行する。飛行可能時間は約100分、航続距離は約90キロである。最大高度は2800メートルで、自動航行の他、衛星通信を利用した遠隔操作にも対応する。
もともとは農薬散布用に開発された機体だが、アタッチメントを交換することで、農業以外の用途への転用も想定されており、展示された機体には、資材を格納するためのコンテナが取り付けられていた。「FAZER R G2の積載能力(ペイロード)は35キロで、コンテナの重さを差し引くと、一度のフライトで約20キロの資材を運搬できる」と、ブース担当者は説明する。
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