ヤマハが考えるドローンのいま、次世代、そして進化形、ガソリンとEVのハイブリッドを提案:Japan Drone2021(2/2 ページ)
「Japan Drone2021」でヤマハは2機のドローンと、1台のエンジン(モックアップ)を展示した。農業用マルチローターでは農薬用途での自動空中散布の実績を紹介し、産業用無人ヘリコプターとしては資材運搬や森林調査などでの可能性を示した。また、ガソリンと電池をハイブリッドした電源供給ユニットのコンセプトを打ち出し、ヤマハが考えるドローンの進化形を明らかにした。
高低差約120mの谷底まで、合計1.5tの資材を運搬
2021年3月には、静岡県掛川市の山中で、コンテナを搭載した仕様で資材運搬の実証実験が行われている。パイロットによる操縦と自動航行を組み合わせ、林道から高低差約120メートルの谷底にある荷下ろしの現場まで約120往復(片道約10分)、計1.5トンの資材を運搬したという。
機体の横には、レーザー光を利用して離れた物体の距離を測定する「LiDAR」のアタッチメントも展示されていた。航空計測用に開発されたもので、毎秒75万回のレーザー照射は業界最高水準。FAZER R G2に搭載し、上空からレーザー照射することで、高密度・高精度の点群データを広範囲に獲得できる。
FAZER R G2の1回約100分という飛行時間を生かし、1日最大100ヘクタールを効率よく計測できる。1平方メートルあたり約1000点以上を取得する高密度の点群データは、計測値に生える立木の本数や樹高、樹木の胸高直径など、森林評価の指標となる。
ブース担当者は「FAZER R G2とLiDARを組み合わせることで、有人での実地調査では困難だった森林の見える化を実現し、森林計測の新スタンダードを目指す」と話す。
ヤマハらしい洗練されたハイブリッドエンジン
今回のヤマハのブースで最大の目玉は、「さらなる無人航空機の進化」コーナーで披露されたドローン用シリーズハイブリッドコアコンセプトSHEVのモックアップだろう。
SHEVは、産業用無人ヘコリプターFAZERのエンジンを応用したレギュラーガソリンと電池のハイブリッドエンジン。設計コンセプトは、「エンジンで発電機を動かし、発電した電力でモーターを回す」。エンジンを動力ではなく、電源供給ユニットとして使うことで、バッテリー単独の従来モデルとは異なる新たな電源ユニットの可能性を提案する。
ユニット重量は約70キロ、供給電圧は300V、ペイロード(燃料+積載物)は最大25キロ、最大約4時間の連続飛行に耐える。
大型で長時間フライトが可能という特性から、海岸警備や農場管理、高山監視など、広範囲でドローンを飛ばす必要のある場面での活用を想定している。ヤマハ自身は機体開発を行わず、他のドローン開発メーカーにエンジンを販売するビジネスモデルを立てている。現在、海外からの問い合わせが複数件寄せられているという。
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