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800kmを2時間で自動飛行する4人乗りの“空飛ぶクルマ”、大阪万博で実演目指すJapan Drone2020

スカイリンクテクノロジーズは、自動運転の空飛ぶクルマを2025年の大阪万博でのデモフライトを目指して、テスト開発を進めている。実用化すれば、4人が搭乗して800キロの距離を2時間で飛行することが実現するため、移動手段の概念が根底から覆る乗り物となる。

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 空飛ぶクルマ開発ベンチャーのスカイリンクテクノロジーズは、民間ドローン専門展示会&カンファレンス「Japan Drone2020|第5回−Expo for Commercial UAS Market −」(会期:2020年9月29〜30日、幕張メッセ)で、2016年12月に発足したプロジェクト「パーソナル・プレーン・開発・プロジェクト(略称:P.P.K.P)」で開発を進める有人飛行可能な垂直離陸機(VTOL)の模型を展示した。

「どこでもドアの一歩手間」の高速移動を可能にするVTOL有人機


スカイリンクテクノロジーズのブースで展示したパーソナル・プレーンの10分の1プロトタイプ

 P.P.K.Pの構想では、「どこでもドアの一歩手間」をコンセプトに、東京〜大阪間をわずか1時間で飛行する“自動運転航空機”を2025年までに実用化させることを掲げている。プロジェクトには、多数のサポーター企業が参画しており、スカイリンクテクノロジーズは幹事企業。

 目標とするスペックは、1つのエンジン(臨界発動機)が停止しても安全に航行できるTA級の回転翼で垂直離陸タイプとし、機体のサイズは全長4×全幅7.6メートル。速度はヘリの1.5〜2倍に相当する毎時400キロで、乗員は2〜4人。飛行域は最大800キロ圏内(中距離帯)を対象に、自家用ジェット機を上回る最速の機体とする計画だ。

 想定では、ビジネスや観光のこれまでに無い高速の移動手段としてだけでなく、現行の交通機関ではカバーできない離島や山間地域への移動方法、ドクターヘリの代替、災害対応などの用途で、汎用性の高い乗り物となることが期待されている。一例として、全国拠点を数日掛けて視察する出張が日帰りで完了したり、人命救助の観点では自動運転機能により、24時間の対応で救命率の大幅な向上が見込めたりすることなどが挙げられる。


想定される主な用途

 運航方法は、ユーザーがスマートフォンの専用アプリで機体を手配し、マップから行き先をタップするだけで、後は3Dマッピングで飛行ルートが設定され、目的地まで全自動で飛行するイメージ。着陸時には、GPSだけでなく、ビルの谷間など電波が届きにくい場所でも、ヘリポートなどの着陸地点を認識するためにセンサーも活用する。

 しかしながら現時点では、運用システムの構築には、衝突防止システムや管制センターでの緊急時の遠隔操作、航空管制との連携など、まだまだ乗り越えるべき課題が存在するという。


行き先指定はスマホのアプリで操作するだけ

P.P.K.Pの自動運転を支える周辺技術

 2016年12月に立ち上がったP.P.K.Pの開発ロードマップでは、これまでに2018年4月には、ターボプロップエンジンを載せたハンググライダータイプの初号機で初飛行に成功。2019年には、大手企業以外のベンチャーでは稀有な経済産業省より航空製造事業に対する事業許可を取得した。

 今後、2020年には、機体制御システムやセルラー網を用いた遠隔操作などといった自立飛行システムの基礎作りと並行して、垂直離陸と固定翼を融合させたインフラ点検用の長距離飛行が可能なドローンを完成させる。2022年には、グライダーベースの1人乗り自動運転航空機の研究に着手し、機体設計のノウハウを蓄積しつつ、フライトシステムの確立とテスト飛行で空力特性の確認して、2025年開催予定の大阪万博で、フルスケール機によるデモフライトを最終目標と定めている。


P.P.K.P開発のロードマップ

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