コロナ禍でLIXILの活路となったショールームデジタル化「1.4万組がオンラインで高い満足度」:COVID-19(3/3 ページ)
LIXILは、コロナ禍で全国のショールームで対面接客を停止したことに伴い、オンライン上で新たなサービスを展開している。ヴァーチャルショールームや商材の3DモデルをZoomを介して顧客に提案し、これまでに累計1万4000組が利用して高い顧客満足度と同時に、従業員の働き方改革ももたらされたという。
顧客と従業員の双方で満足度向上
LIXIL社内でもオンラインショールームによって、コーディネーターの在宅勤務など働き方改革がもたらされた。加えて、オンライン接客専門コーディネーターの組織化を目的に中核となる「オンラインショールームセンター」を開設。オンラインショールームの采配コントロールやコーディネーターの接客レベルアップを図るロールプレイングなどの教育を行っている。
「センターが各エリアと連携することで、バラバラだった組織が一本化された。従来は、各ショールームで教育やサービス品質の違いなどが見られたが、統一したことでサービスの質が均質化された。在宅勤務とオンラインショールームセンターで、従業員満足度にとどまらず、接客品質が高まり、顧客満足度の双方の向上につながっている」(竹下氏)。
オンラインショールームの新規サービスでは、コーディネーターがスマホでショールームを動画撮影しながら商材を紹介する「LIVEコンサルサービス」に注力していく。大型サイズのエクステリアや展示数が限られる金属商品の提案で有効なツールになることが見込まれている。
説明会の後半では、ショールームコーディネーターの磯野由奈氏がキッチンを対象にしたオンラインショールムでのデモンストレーションを披露した。Zoom上で、顧客が記入した事前アンケートに沿ってより詳しい要望をヒアリングし、ヴァーチャルショールームの中でニーズに合致したオープンキッチンを紹介。3Dモデルでは、カラーや付帯設備などを選択して、最終的に見積もりやAR投影が可能なQRコードが記載された提案資料一式を提示した。
デモ後、磯野氏と現在は地方の離島在住でコーディネーターを遠隔で務めているという沖田直子氏は、オンラインショールムに携わる立場として、「当初は実物が無い中でどうイメージを伝えるか難しく感じたが、ロールプレイングの練習を経て、来館時よりも細目に説明することを心掛けている。体験してもらうと、質感や使用感までもが動画やヴァーチャルを通して伝わり、感動していただくこともある。オンラインのため、カンタンな仕様や色の変更などであれば、5〜10分のちょっとした時間でも、気軽にオンラインで相談してもらえるのがオンラインならではの良い点」とコメントした。
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