PATブレードの3Dマシンコントロール機能を搭載したミニショベル、全旋回動作が可能:新建機
日立建機は、2018年に販売・レンタルを開始したミニショベル「PATブレード3Dマシンコントロール仕様機ZX35U-5B」の機能を継承しつつ、常時360度の全旋回動作を可能としたミニショベル「ZX40U-5B」を2021年7月に発売する。
日立建機は、小規模舗装工事の整地作業向けに、PATブレードの3Dマシンコントロール機能を搭載したミニショベル「ZX40U-5B」を2021年7月に発売することを同年1月25日に発表した。PATブレードは、Power Angle Tiltブレードの略で、通常の上下動作に加え、ブルドーザのようにチルト、アングル動作も可能としたブレード(排土板)を指し、整地作業をスムーズに行うのに役立つ。
走行させるだけで高精度な整地作業が完了
一般的に、市街地の駐車場や運動場、生活道路などの小規模な舗装工事における上層路盤の整地では、PATブレードを装着したミニショベルやブルドーザ、モータグレーダなどの建機を使用する。
上層路盤の整地では、設計面に対してプラスマイナス10ミリ以内といった精度の高い施工が要求される他、排出ガス規制をクリアし、小規模な施工現場に適したブルドーザやモータグレーダが必要となる。しかし、国内では熟練オペレーターが減少傾向にあり、上層路盤の整地に対応する従事者が少ない上、排出ガス規制をクリアし、小規模な施工現場に最適なブルドーザとモータグレーダが市場に多くないことから、日立建機は、2018年にPATブレードの3Dマシンコントロール機能を搭載したミニショベル「ZX35U-5B」を開発した。
だが、ZX35U-5Bは、PATブレードに取り付けた装置と運転室のブレード制御用コントローラーをケーブルで接続する必要があり、車体の旋回範囲が限られることが問題だった。こういった課題を解決し、開発されたのがZX40U-5Bだ。
ZX40U-5Bは、PATブレードに取り付けた装置と運転室内にあるブレード制御用コントローラーの接続方法を工夫することで、常時360度の旋回を可能とし、使い勝手を良くした。また、通常のミニショベルと同じく整地作業前に、路面掘削や土砂の積み込み、路盤材の敷き均(なら)しといった作業にも使えるため、施工現場に投入する機材を減らせる。
搭載されたPATブレードの3Dマシンコントロール機能は、車体の位置を検出し、3D設計データで示された整地高さと傾きに合わせてPATブレードを自動で制御するもので、オペレーターはZX40U-5Bを操作し走行させるだけで高精度な整地作業が完了する。これにより、PATブレードと路面の位置関係を注視しつつ、PATブレードと走行の操縦を同時で行うといった従来の作業方法をしなくて済み、周囲の安全確認に集中することが容易になり、施工現場の安全性が上がる。
なお、同機能は、建設現場での測量に多用される自動追尾型のトータルステーションとターゲット(プリズム)を使う。具体的には、PATブレードに装着したプリズムと傾斜角センサーから車体の位置とブレード傾斜角度の情報を得て、3D設計データに従ってPATブレードの動作をリアルタイムで自動制御する。
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