キャタピラージャパンは2020年2月27日、次世代油圧ショベル「Cat 325 油圧ショベル」を発売した。
20トンクラスの標準機と同等の生産性
Cat 325は2018年から順次販売している同社の次世代油圧ショベルシリーズで初となる後方小旋回機。
後端旋回半径や側方はみ出し量を抑え、限られたスペースの現場でも20トンクラスの標準機「320油圧ショベル」と同等の作業範囲や生産性を有している。既に上市している次世代油圧ショベルと同様に、最新のテクノロジーを搭載しており、燃料効率の向上やメンテナンスコストの低減なども図れ、オフロード法(特定特殊自動車排出ガス規制法)2014年基準にも適合している。
具体的には、EH(Electro-Hydraulic)油圧コントロールシステムや新しいエンジン制御モードを採用し、従来機「325F」と比べ、燃料効率を最大で25%アップしており、運転経費の削減に貢献する。エンジンはエコ、スマート、パワーの3モードを備えており、スマートモードは作業量を減らさずに燃料消費量を低減させる。モードの切り替えはキャブ内スイッチで行え、好みのモードを簡単に選べる。
標準装備として、ペイロード計測システム「Cat Production Measurement(CPM)」や作業範囲制限機能「E-フェンス」、旋回アシスト機能、プロダクトリンクとVisionLinkを備えていることも利点だ。
CPMは、ブームとアームを停止させることなく、正確に積荷の重さを持ち上げ旋回中に測れる。E-フェンスは、設定した角度に近づくと旋回を自動停止することで、旋回による接触や衝突のリスクを低減し、フロント作業機の作業範囲を制限する機能もあるため、安全に作業を進められる。
旋回アシスト機能は、積み込み時に旋回操作を往復するような作業で旋回を自動的に停止し、停止前には減速するため荷こぼれも防止することで、作業効率を325Fと比較して、最大45%高めている。
プロダクトリンクとVisionLinkは、車両の位置や状態をリアルタイムに把握し適切な機械管理やCPMで収集した積載データのマネジメントも可能なシステムで、燃料消費量やアイドリング時間の分析によりコストカットに役立つ。
機体には、車両後方と右側方をサポートするカメラが取り付けられており、オプションの360度ビューシステムにアップグレードすることで、全周の良好な視界を確保し、油圧ショベル周辺の障害物や作業者を1つの画面で容易に確かめられるようになる。また、機体の転倒時運転者保護構造(ROPS, Rollover Protective Structure)はISOの規格に適合している。
Cat 325は、メンテナンス間隔の延長や点検作業の簡易化を図った仕様になっているため、メンテナンスにかかるコストを325Fと比べ、最大で20%削減している(1万2000時間稼働時)。燃料フィルターの交換間隔は従来の500時間から1000時間に、作業油リターンフィルターは2000時間から3000時間にそれぞれ延長し、メンテナンスにかかるコストと手間を減らしている。
Cat 325の標準販売価格は、販売標準仕様の工場裸渡しで、2432万1000円(税別)。
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