排出ガスゼロで騒音が少ないバッテリー式ミニショベル、エンジン式と同等の掘削性能:建機
コマツは、これまで開発してきたハイブリッド建機やバッテリーフォークリフトの技術をベースに、エンジン駆動式と同等の掘削性能を発揮しつつ、“排出ガスゼロ”と騒音の低減を実現し、屋内作業や夜間工事などでの活用が見込まれるバッテリー駆動式ミニショベル「PC30E-5」を開発した。
小松製作所(コマツ)は2020年3月17日、バッテリー駆動式ミニショベル「PC30E-5」の国内市場への導入を開始したことを発表した。
高電圧部は日常点検が不要
PC30E-5は、排出ガスがゼロで、クリーンな作業環境を実現し、車両周辺の作業員や樹木に優しく、屋内工事や管工事、都市部での工事、造園業などさまざまな現場で役立つ。
動力源は電動モーターを採用しており、エンジン車のような騒音が発生しないため、作業中でも車両周辺の作業員とのコミュニケーションがとりやすく、安全に作業を行える他、住宅街や病院、夜間の工事など周囲への騒音に対する配慮が必要な現場でも有効となる。
エンジンを搭載していないので、オペレーターに伝わる振動が改善されており、作業中のストレスや疲労を低減し、快適に作業が行え、車体からの発熱量も少ないため、車両周囲に熱の影響を与えにくい。
また、搭載機器では、コマツが長年培ってきたハイブリッド建機とバッテリーフォークリフトの技術をベースにした高性能充電器や高電圧変換ユニット、イージーメンテンスバッテリーを採用している。
このうちイージーメンテンスバッテリーは、補水の手間や費用がかからないだけでなく、補水忘れによるバッテリーの劣化や損傷の心配もなく安全性や信頼性、整備性に優れている。充電方法は、長時間かけてバッテリーを満充電にする普通充電と、短時間でバッテリー容量の80%まで充電する急速充電の2タイプ。
同機は、日常点検部と高電圧部を完全に分離しているので、高圧電源を気にすることなく安全に日常点検が可能。高電圧部は日常点検が不要で、エンジンや燃料に関係する点検項目も無いため、メンテナンス項目が従来品よりは少なくて済む。
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