五洋建設が12MWの水上風力発電を建設可能な「SEP船」建造に着手
五洋建設、鹿島建設、寄神建設の3社は、10〜12メガワットクラスの着床式洋上風力発電施設を建設できるSEP型多目的起重機船を共同で建造する。投資額185億円で、2022年9月の完成を目指す。
五洋建設、鹿島建設、寄神建設の3社は2019年11月20日、10〜12メガワットクラスの着床式洋上風力発電施設の基礎及び風車の建設用に、1600トン吊(つ)りクレーンを搭載したSEP(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業台船)型の多目的起重機船を建造することを決定した。保有会社は、五洋建設の連結子会社として設立し、3社が共同出資する形で運営する。
1600トン吊全旋回式クレーンを搭載
国内での洋上風力発電プロジェクトは、港湾区域に続き、一般海域でも洋上風力発電の開発を促進する法律が整備され、全国で取り組みが本格化している。
新造するSEP船は、洋上風車と基礎構造の大型化に対応し、1600トン吊全旋回式クレーンを搭載しているため、10〜12メガワットクラスの洋上風力発電施設の建設を可能にする。広いデッキスペースと十分なジャッキ能力も備え、風車を複数基積載して運搬。水深(水深50メートル)での作業にも応じ、モノパイルやジャケットなどの基礎施工も実現する。
また、ダイナミックポジショニングシステム(DPS)を装備し、船体の位置保持が可能で、ジャッキアップ時の位置決め時間も短縮される。
基本設計は、世界のSEP船の7割以上を手掛けるオランダGustoMSCが担当し、建造はマレーシア最大の国際的コングロマリットKuok Family傘下のシンガポールPax Ocean Engineeringが行う。主クレーンは、オフショアクレーンのトップメーカー・オランダHuismanの製品を採用する。
投資額は約185億円で、引き渡しは2022年9月、稼働開始は2023年3月の予定の見通し。
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