三井住友建設の「騒音減少装置」が改良で小型化と軽量化、普及に向けリース開始:施工
三井住友建設は、音の共鳴現象を利用して建設工事の騒音を低減する「レゾクラウンサイレンサー」の小型化と軽量化に成功し、現場での有効性も確認したことで、日建リースを介して本格的なリース販売を開始した。
三井住友建設は2021年3月25日、音の共鳴現象を利用して工事現場の騒音を低減させる簡易型騒音低減装置「レゾクラウンサイレンサー」に小型化と軽量化の改良を加え、工事用仮囲いの背面上部への設置作業の簡便化を実現し、日建リースを仲介にリースを開始したと公表した。
改良品は1ユニットで幅を半減、重さも35キロから15キロへ
建設工事現場では通常、敷地境界線上に仮囲いなどを設置していることが多いが、現場周辺に伝わる工事騒音が問題となる場合は、仮囲いの上部に防音シートで嵩(かさ)上げを行うなど現場ごとに対策を講じている。しかし、仮囲いの高さを増す作業は、施工の手間が掛かるうえ、騒音の低減効果が薄かった。
三井住友建設が2017年に、工事現場から周辺に伝わる工事騒音を低減させる装置として開発したレゾクラウンサイレンサーは、音の共鳴現象を利用した吸音効果をもたらす共鳴管と、仮囲いの骨組みを構成する単管パイプ下地に固定するフック(単管クランプ)をセットしているため、2〜3人で容易に脱着することができる。現場条件に合わせた設置と繰り返しの使用が可能で、高い騒音低減効果(約3〜5デシベル低減)が得られる。防音シートなどによる対策で、仮囲いの高さを約1〜1.5メートル増やすのと同程度だという。
今回の改良点としては、旧モデルが1ユニットあたり幅2メートル、重さ35キロだったところ、1メートル幅への小型化に加えて、部材厚の変更(2.0ミリ→1.5ミリ)と構造の見直しで、1ユニットあたり約15キロと軽量になった。また、繰り返しの使用ができるため、建設現場での廃棄物の削減と資源の有効利用にもつながる。
三井住友建設では、グループ会社のSMCテックでの製造体制が整ったことに伴い、建設現場に広く普及させる目的で、今回、リース商品として取り扱いをスタートさせることとなった。
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