LTE搭載スマートグラス、モバイルルーター不要で取得した映像を送信可能:第7回 ウェアラブル EXPO
ウエストユニティスは、屋外でもモバイルルーターの携帯やWi-Fi環境の構築をしなくても、ウェアラブルカメラで取得した映像を専用クラウドに送信できるLTE搭載のスマートグラス「infoLinker3」を開発した。
ウエストユニティスは、建設と点検向けのウェアラブル端末や業務改善ソリューションが展示される専門展「第7回 ウェアラブル EXPO ウェアラブル 開発・活用展」(会期:2021年1月20〜22日、東京ビッグサイト)に出展し、2021年春発売予定のスマートグラス「infoLinker3」と専用クラウド「LinkerWorks」を披露した。
カメラは4Kの動画と1200万画素に及ぶ静止画の撮影が可能
infoLinker3は、カメラやディスプレイ、照度センサー、骨伝導スピーカーから成るヘッドマウント部と、マイク、タッチパネル、バッテリー、スピーカーを備えたネックバンド部で構成される。カメラは、4Kの動画と1200万画素に及ぶ静止画の撮影に対応し、手ブレ補正機能も備えているので、高精細な画像を撮れる。バッテリーは大容量で5時間使え、動作中のバッテリー交換に応じているため、infoLinker3の長時間稼働を実現する。
画面は非透過型で日中の明るい場所でも見やすく、ディスプレイの位置調整も容易で焦点が合わせやすい。骨伝導スピーカーは騒音下でも装着者が音声を聞きやすく、スムーズに指示を受け取れる。ヘッドマウント部は軽量でユーザーが継続的にinfoLinker3を利用しても疲労感を感じにくい。infoLinker3の操作はバッテリー部に取り付けられたボタンで行える他、音声によるハンズフリーのコントロールにも対応しているので、両手を使う業務でも役立つ。
ウエストユニティスの担当者は、「infoLinker3はLTEを搭載しているのも長所だ。infoLinker3の装着者は屋外でも、モバイルルーターの携帯やWi-Fi環境の構築などをしなくても、LTE通信で動画と音声を作業所と遠隔地の管理者に送れる」と説明した。
LinkerWorksは、infoLinker3の遠隔操作や取得映像の閲覧と録画に応じており、ビデオ通話でinfoLinker3のディスプレイを通して現場のスタッフに作業の指示も可能。ペイント機能と画面共有機能で、業務に関連する資料もinfoLinker3に送信できる。また、作業手順書の作成や業務履歴の一覧表示、音声操作にも対応している。
infoLinker3のOSはAndroid10.0で、CPUは米Qualcomm製の「Snapdragon SDM845」。RAMは4GBで、ユーザーメモリは64GB。ディスプレイは有機EL。光学モジュールは0.56型で、視野角は20.2度。スピーカーはネックバンド1ワット。マイクは2マイクアレイ方式で、ノイズキャンセル機能付き。ライトはヘッドマウント部にトーチライトを搭載。携帯電話回線は4GとLTE。無線LANは2.4GHz(b/g/n)と5GHz(a/ac)。
近距離無線通信はBluetooth5.0 BR/EDR/LE。GNSSはGPSとQZSS(みちびき)。センサーには加速度やジャイロ、地磁気の9軸と照度のセンサーを設置。外部端子は4極イヤフォンジャックや骨伝導イヤフォンジャック、充電と給電が可能なUSB端子。ネックバンドの重量は約360グラムで、ヘッドマウント部の重量は約120グラム。両筐体の防水防塵等級はIP66相当。使用可能動作環境は、温度がマイナス20度〜プラス50度で、湿度は30〜90%。
infoLinker3の価格は19万9500円で、LinkerWorksは1ライセンスあたり月額2万円(いずれも税別)。
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