抗菌の素材から開発、ヤマダ電機グループの住宅メーカーがwithコロナの住まいを提案:第5回 住宅・ビル・施設Week(2/2 ページ)
ヤマダホームズは、ヤマダホールディングスの一員として、災害に強い設備を備え、健康に留意したスマートハウスの実現を目指している。コロナ禍にあっても、抗菌・抗ウイルスの素材や部材の開発、24時間の換気システム、ウイルスを居住スペースに持ち込まない導線設計など、各種の対策を用意している。
コロナウイルスから家族を守る、動線を最適化するグリーンゾーン設計
このところのコロナ禍では、外出していた人が帰宅時にウイルスを持ち帰り、家族に感染を広げる例が報告されている。対策としては、帰宅直後の手洗いや着替えなどが有効とされている。ヤマダホームズではこの考えをさらに進め、帰宅時の動線を設計し直すリフォームとして提案している。
このリフォームでは、住宅内を「レッドゾーン」と「グリーンゾーン」に区分する。具体的には、屋外と直につながる玄関や菌・ウイルスを落とすためのシャワールームがレッドゾーン、菌・ウイルスを落とした後に入るリビングなどをグリーンゾーンとする。
外出先から帰宅した人は、まずレッドゾーンでシャワーや着替えなどを済ませ、菌やウイルスを落として安全な状態になってからグリーンゾーンに進む。グリーンゾーンには、先に触れた抗菌の床や壁が施され、24時間の換気システムが動いている。こうした帰宅時の動線を設定することで、在宅している家族を外部のコロナウイルスからガードできる。
講演ではこの他、コロナ禍に関連した設計としては、在宅での仕事をやりやすくする「コックピット書斎」やコミュニケーションを活性化する「オンライン応接間」などの提案も紹介した。
コックピット書斎は、自宅でのテレワークに対応するもの。在宅でのオンライン会議などで余計な背景などが映り込まないように配慮がなされた1人用の仕事スペース・書斎空間だ。
このスペースには、仕事に必要な文具、資料、機材などが効率よく配置・収納され、他の居住スペースを圧迫しない最適な広さで設計される。
一方、オンライン応接間は、親戚や友人などとオンラインでのコミュニケーションを想定している。コロナ禍のために帰省や訪問がしにくい状況があるが、このような設備は家族間でのコミュニケーションには有効策となるだろう。
人の免疫力を上げる「WellnessAIR(ウェルネスエア)」
松本氏は、イオンを使って人の免疫力を上げる研究も披露した。2013年に川崎医科大学との産学協同で開発をスタートさせた試みで、人のNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるものだとのことだ。4年ほど前から埼玉大学との共同研究では、スギ花粉のアレルゲンを低減・無効にできることを確認した。
研究によって生まれた「WellnessAIR」という製品は、室内のイオンバランスを改善することで人の免疫力を高める。
WellnessAIRは、粉末にした木炭を混ぜた塗料を室内の壁や天井に塗り、そこに微弱な電流を流す。すると、壁や天井がマイナスに帯電し、室内のプラスイオンが引き付けられる。これにより、室内がマイナスイオンの優位な環境となる。
松本氏は、このWellnessAIRによって、まるで森林浴のような住環境が実現し、快眠やリラクゼーションなどによる健康効果が高い住空間を作れると説明した。
講演ではこの後、抗菌・抗ウイルスの部材である「NEXIS(ネクシス)抗菌+(プラス)」についても説明。また、音声を使った機器操作で非接触の生活ができるスマートハウスの構想を提示した。
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