生活習慣を覚えるスマートハウスAI「CASPAR」を“非住宅領域”にも展開、西松建設×BoT
西松建設は米国のAI開発ベンチャー「Brain of Things(BoT)」と、AIに関してPOC契約を締結した。BoTの住宅向けAI「CASPAR(キャスパー)」を導入し、非住宅領域への導入、さらにはAIスマートホームシステムの提供を検討していく。
西松建設は2019年03月25日、米国のAI開発ベンチャー「Brain of Things(以下、BoT)」と、AIを活用した事業展開に向け、POC契約(proof-of-concept:概念実証)を締結したことを明らかにした。締結日は2019年2月20日。
AIがセンシングで取得したデータから、自動で室内環境を最適化
西松建設は、自社の社宅にBoTが開発した住宅向けAI「CASPAR(キャスパー)」を導入し、実生活の効果や効用について技術的な観点から検証を深め、今後の事業展開への方策を講じる。
CASPARは、音声、映像、動作、振動、温度、湿度、照度、紫外線を測定できるセンサーを搭載している。住居内に設置することで、取得データを基に、居住者がどこにいて、何をしようとしているのかを“CASPAR.AI”がディープラーニングで認識して、自動でエアコンの温度や照明の色など室内の家電をコントロールして最適化する。
IoT家電とは異なり、居住者自身がスマートデバイスを利用して操作する必要が無く、CASPAR.AIが自ら判断して、音声などで命令を出さなくても、利用者に最適な生活環境を整える。例えば、帰宅の時間帯に合わせてエアコンの電源を入れたり、毎日の起床時間にカーテンを開けたり、外出時に人がいない場合には施錠したりなど、住んでいる人の生活習慣をデータとして蓄積し、学習を繰り返すことで、住民の暮らしに合わせたスマートハウスを構築する。
今回のPOC契約によって、技術者集団であるBoTと協力体制を築き、一般住宅以外での「CASPAR」導入の可能性も検討するとともに、世界標準のパートナーとなるべく建築設計・施工ノウハウの蓄積を進める。
西松建設は今後、AI搭載住宅や自立サポートのできる高齢者施設の需要が見込まれる中、この実験で得られたノウハウを生かし、AIスマートホームシステムの提供や最適なハード創りのエキスパートを目指していくとしている。
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