天井を配線ダクトにリニューアル可能な部材、パナソニック LS社:製品動向
パナソニック ライフソリューションズ社は、天井を配線ダクトにリニューアル可能な「イージーアップ配線ダクト」と、木漏れ日や水面などの映像を投影できるダウンライト型プロジェクター「バイオシャドー」を開発した。
パナソニック ライフソリューションズ(LS)社は、配線ダクトに装着できるワイヤレススピーカーを2021年4月1日に発売し、配線ダクトタイプの照明器具300品番を同日より順次上市して、ダウンライト型プロジェクター「バイオシャドー」と天井を配線ダクトにリニューアル可能な「イージーアップ配線ダクト」の販売を同年6月に開始する。
発売に先立ち、オンライン記者発表会を同年3月4日に開催した。会場では、パナソニック LS社 ライティング事業部 ライフスタイルライティングBU BU長 山中直氏が、それぞれの新製品について説明した。
バイオシャドーは実験で空間に好印象を与えることが判明
山中氏は、「現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークやオンライン会議を導入する企業が増え、オフィスの役割は、リアルなコミュニケーションをとれるスペースと居心地が良い空間の提供や業務効率の向上に変容してきている。つまり、オフィスは働く場から働く価値のある場に変わりつつある。こうしたトレンドの変化を踏まえて、当社では、多様なワークスタイルに合わせて、設置可能な配線ダクトタイプの照明器具約300品番を新たにラインアップし、イージーアップ配線ダクトも上市する。職場の快適性アップに役立つ映像を投映するバイオシャドーとこの製品に連動してリラックス効果のあるサウンドを流せるダクト用スピーカーもリリースする予定だ」と発売経緯を語った。
配線ダクトタイプの照明器具は、部屋のほぼ全体で均等な明るさを実現する全般照明やペンダント型、スポットライト型、小型シーリングライト型など、さまざまなものを用意している。各照明器具は、スケルトン天井にも対応し、カジュアルな雰囲気のオフィスに取り付けるのにも適す。
バイオシャドーは、天井に収められる埋込型のプロジェクターで、木漏れ日や水面など、バイオフィリアをモチーフにした映像の映写に応じており、壁用6種類と床用5種類のコンテンツ映像と音声をプリインストールしている。また、ワイヤレススピーカーとセットで使える他に、照明を制御する機器や照明器具などとの組み合わせで、一般照明との併用、複数台連動による空間演出も行える。バイオフィリアとは、人が本能的に好ましいと感じる自然や生命をイメージした情報。
山中氏は、「当社は、森山総合研究所の高山範理博士と共同で実験し、バイオシャドーの映し出す情景が、“リラックスしやすい”“開放的な”“気分転換しやすさ”“魅力的な”などの好印象を与えることが明らかになった。実験では、壁面にバイオシャドーのコンテンツを投映し、映した映像の有無で、空間のイメージを評した」と述べた。
イージーアップ配線ダクトは、天井を配線ダクトに改修するもので、室内全体を広く照らすベースライトと統一感のあるデザインで、ペンダントタイプやスポットライトタイプなど配線ダクトタイプの照明器具も配置できる。イージーアップ配線ダクトの施工手順は、まず既設のベースライトを取り外し、既設器具の開口・配線を再活用し、イージアップ配線ダクトを取り付け完了する。
イージーアップ配線ダクトの種類は、サイズが150ミリ、220ミリ、300ミリのフラットタイプとサイズが220ミリ、300ミリの深型タイプを用意している。両タイプとも100ボルト用と200ボルト用を品ぞろえする。
価格は、バイオシャドーが22万円で、ワイヤレススピーカーと対応器具の組み合わせは3万1500〜3万9500円、イージーアップ配線ダクトは1万6800円〜3万5600円(いずれも税別)。
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