暗い路面に映像照射で進路を示す装置を開発、仮設歩道の安全性が向上:建設技術フォーラム
小糸製作所は、夜間工事の際に、歩行者が仮設歩道を安全に歩くことをサポートする映像照射装置を開発し、実証試験を進めている。
国土交通省 関東地方整備局は2019年11月20日、埼玉県さいたま市のさいたま新都心合同庁舎で、建設技術フォーラムを開催した。今回の建設技術フォーラムは「“X-Tech(クロステクノロジー)を実現する新技術」をテーマに講演や技術展示などが繰り広げられた。
当日の演目のうち、小糸製作所 営業本部 部品用品企画部 商品企画課の基浩二氏が行った技術発表「LED 描画ランプを使用した分かりやすい歩行者誘導装置(路面へ矢印を描画して歩行者を誘導)」をレポートする。
記号による案内で外国人の誘導も容易
基氏は、仮設歩道の安全対策として、人に優しい誘導や分かりやすい注意喚起ができる設備が欲しいというユーザーのニーズを反映して開発した製品「LED 描画ランプを使用した分かりやすい歩行者誘導装置」を紹介した。
具体的には、顧客から「夜間工事に伴う仮設歩道が長い場合、中間部が暗く歩行者が歩きづらいと感じることがある」や「その点を改善可能な簡易で移動しやすい人に優しい装置を求めている」という声があがった。
こういった要望を踏まえて開発された歩行者誘導装置は、暗い路面に矢印などの記号や文字を投影することで、通行者に対し誘導と注意喚起を図れる。小型で軽量なランプを用いるため容易に鋼管ポールに取り付けられる上、矢印や記号で進路を示せるため、外国人にも理解しやすいといった利点があるという。
基氏は、千葉県習志野市の干潟歩道内および谷津溝橋の仮設歩道で実施した実証試験について、「歩行者誘導装置のランプを照明柱へ取り付け、バッテリーを柱下へ設置し、実証試験に臨んだ。進行方向を示す矢印や注意喚起を促す記号や文字を路面に照らし出すことで、スムーズな歩行者の誘導を実現した」と話す。
歩行者誘導装置の特に優れている点については、「これまで使われていた注意看板や歩行者マットと比較して、安価であり安全性が高い。歩行者マットと注意看板の値段が約10万円である一方、この装置は設置料込み、2台で8万円だ。また、路面に映像を映すため、歩きスマホをしている通行人の目にもとまりやすく、機材をポールなどに装着させられるので、人と接触する可能性も低い」と説明した。
なお、歩行者誘導装置は夕方から朝方まで使えるという。
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