2020年の工事受注高は前年比7%減の79.6兆円、元請・下請ともに減少:調査レポート(2/2 ページ)
国土交通省は、公共機関や民間企業からの工事受注額を発注者別や業種別、工事種類別、地域別にリサーチした建設工事受注動態統計調査を毎月行っている。2020年は、建設会社全体の受注高が前年比7.0%減となる79兆6578億円だった。内訳では、元請受注高と下請受注高がともに減少した。
公共機関からの受注工事額は前年比5.5%増
公共機関からの受注工事額(1件500万円以上の工事)は前年比5.5%増の16兆7226億円。発注者別では、政府関連機関が同比9.2%増の6兆44億円で、地方公共機関は同比3.5%増の10兆7182億円となった。
政府関連機関の内訳は、国が同比15.5%増の3兆3859億円、独立行政法人は同比11.5%減の6099億円で、政府関連企業などは同比6.9%増の2兆86億円。
地方公共機関から受注した工事額の内訳は、都道府県が同比8.2%増の4兆3951億円、市区町村は同比1.5%減の4兆7513億円、地方公営企業は同比3.5%増の1兆1296億円で、その他は同比16.1%増の4421億円。
工事分類別にみると、受注工事額が多いのは、道路工事の4兆7797億円、治山・治水の2兆2186億円、教育・病院の2兆713億円の順。発注機関別と工事分類別で、受注工事額が多かったのは、市区町村が発注した教育・病院工事の1兆3489億円、次いで政府関連企業による道路工事の1兆2887億円、国が扱った道路工事の1兆2983億円だった。
民間建築の倉庫流通以外は、前年比減
民間からの受注工事で、建築工事と建築設備工事(1件5億円以上の工事)の受注工事額は、前年比19.5%減となる9兆508億円。発注者別では、受注工事額が多かった順で、不動産業の3兆5934億円、サービス業の1兆7213億円、製造業の1兆5319億円。工事種類別で、受注工事額が高かったのは、住宅の2兆2759億円や事務所の1兆4133億円、倉庫・流通施設の1兆3501億円だった。
また、民間会社が発注した土木工事や機械装置など工事(1件500万円以上の工事)の受注工事額は前年比2.9%減の7兆505億円。発注者別だと、受注工事額が多かったのは、電気・ガス・熱供給・水道業の2兆4090億円、製造業の1兆6506億円、運輸業・郵便業の1兆3084億円の順。工事種類別で、受注工事額が高いのは機械装置など工事の3兆229億円や鉄道工事の1兆489億円、発電用土木工事の9475億円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2019年度の工事受注高は5.2%減の82.4兆円、国交省調査
国土交通省は、公共機関や民間企業からの工事受注額を発注者別や業種別、工事種類別、地域別にリサーチした建設工事受注動態統計調査を毎月行っている。2019年度の結果では、建設会社全体の受注高が前年度比5.2%減となる82兆4209億円になった。内訳では、元請受注高が減少した一方、下請け受注高が増えた。 - 主要統計から見る建設業の市場動向、「出来高」は54.5兆円に増加
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をレポートする。今回は、国土交通省の「建設総合統計」「建設工事受注動態統計調査」「建設工事施工統計調査」をリサーチした。 - 建設業主要10社の決算、大林組が初の2兆円突破や大和ハウスが過去最高を記録
ヒューマンタッチ総研は2019年6月5日、2019年3月期通期決算から見る建設市場動向のレポートを公表した。主要建設企業の決算結果では、ゼネコン、電気設備工事業、管工事業は10社中9社が増収となり、市場全体はいまだに拡大傾向にあることがデータから見てとれる。 - 働き方改革に2.4億円を計上、5年連続6兆円超え国交省の2020年度予算概算要求
ヒューマンタッチ総研は、2020年度の国土交通省予算概算要求から予測した建設市場の動向についてのレポートをリリースした。概算要求のうち、公共事業関係費は、2019年度予算比で19%増加して6兆2699億円となった。中でも防災・減災対策、国土強靭化、インフラ老朽化対策などが前年度予算を大きく上回った。加えて、働き方改革の推進やi-Constructionなどの予算も増加されているため、労働環境の整備が進むことが予測される。 - 「公共土木投資が7100億円増え増加に転じる」2019年度の建設投資見通し
ヒューマンタッチ総研は、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2019年9月分のマンスリーレポートをリリースした。今回のトピックスでは、国土交通省から発表された「2019年度(令和元年度)建設投資見通し」について分析している。 - 2020年度の建設業界は防災・減災やインフラ対策に大幅な予算増で、堅調に推移
ヒューマンタッチ総研は、国土交通省の「2020年度予算概要」などから分析した建設業界の今後についてまとめた。これによると2020年度は、防災・減災対策や老朽化したインフラ対策を中心に2019年度を上回る予算が投入され、建設市場は堅調に推移すると予測している。