建設業主要10社の決算、大林組が初の2兆円突破や大和ハウスが過去最高を記録:産業動向(1/3 ページ)
ヒューマンタッチ総研は2019年6月5日、2019年3月期通期決算から見る建設市場動向のレポートを公表した。主要建設企業の決算結果では、ゼネコン、電気設備工事業、管工事業は10社中9社が増収となり、市場全体はいまだに拡大傾向にあることがデータから見てとれる。
人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、「総合工事業(ゼネコン)」「土木工事業」「電気設備工事業」「管工事業」「プラントエンジニアリング業」「住宅建設業」に分けて、各社の2019年3月期通期決算から見る市場動向をまとめた。対象は3月期決算で2019年3月期売上高の上位各10社(ゼネコンは非上場の竹中工務店を除く)。
2020年3月期は5業種で売上高が前期を上回る
レポートによると、2019年3月期の売上高は、プラントエンジニアリング業を除く5業種で前期を上回り、各業種ともに市場規模は拡大傾向にあることが分かった。
経常利益は、電気設備工事業、管工事業、住宅建設業の3業種で前期を上回り、土木工事業もほぼ前年並みを確保し、利益面でも高水準を維持した決算となった。
一方の2020年3月期見通しについても、プラントエンジニアリング業を除く5業種で売上高は前期を越える予想になっており、市場規模は今後も拡大傾向が続くと見込まれる。また、経常利益も、プラントエンジニアリング業が黒字に転換するのをはじめ、電気設備工事業と住宅建設業では前期以上になる見込みだが、前期割れとする業種もあり、明暗が分かれる。
ゼネコンは10社中9社増収、6社が増収増益も、利益面で苦しい
総合工事業(ゼネコン)主要10社の2019年3月期決算は、業界トップの大林組が売上高を初の2兆円台に乗せるなど好調な結果となった企業が多く、10社中9社が増収。このうち大林組、清水建設、五洋建設、戸田建設、前田建設工業、三井住友建設の6社は増収増益だった。首都圏の再開発工事を中心に、手持ちの大型工事の消化が順調に進んで、完成工事高が増加していることが要因となった。
2020年3月期の業績予想では、底堅い民間建設需要や国土強靭化関連の公共投資増加を背景に7社が増収を見込む。清水建設、五洋建設、安藤ハザマの3社が増収に加え、増益も予想している。一方、減益とする企業が7社あり、全体としては収益性の面で厳しい業績になる見通しだ。
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